2022年度 卒業研究発表会 こんな先輩になりたい!2年生が1年生に貫禄を見せる(バイオテクノロジー科)〔116〕
TTCバイオテクノロジー科はコース選択がありません。全員が、入学から約1年半かけて、食品分析、微生物、遺伝子工学、植物培養、動物細胞培養などさまざまなバイオ分野を学び、幅広い知識と技術を身につけていきます。
2年生の4、5期は学びの集大成。実験技術を応用する力を養うために卒業研究を実施しています。例年、2~3人のグループに分かれ、これまで学んできた中から深掘りしたい分野を選び、研究テーマを考えます。そして担当教員にアドバイスをもらいながら学生が実験計画を立て、3ヶ月間試行錯誤しながら実験に没頭します。最後は、卒業研究発表会で研究内容と成果を発表し、詳細は卒業論文にまとめあげます。
2022年度の卒業研究は、9グループに分かれておこなわれました。深掘りしたい分野はグループごとにさまざま。今回は、食品の分析や加工、微生物の突然変異育種、遺伝子検出、植物の細胞・組織培養、動物細胞の融合や毒性試験などに取り組みました。
1班は、エナジードリンクに含まれる、カフェイン、アミノ酸、糖、ビタミンの定性・定量分析をおこないました。オリジナルエナジードリンクを作るなら、どのような成分組成がいいのか検討してくれました。
2班は、糖質を抑えたグミの開発にチャレンジしました。たくさんグミを作ってレオメーターで切断強度や咀嚼力の測定をした後、クラスメイトに官能検査を実施。ゲル化剤や甘味料の種類や濃度を検討した結果、市販グミより糖質50%、カロリー30%カットした美味しいグミを作ることに成功しました!
3班は、市販の米麹からコウジカビを単離し、紫外線や熱処理を施し変異を誘導しました。その結果、変異を行う前のコウジカビよりセルラーゼ活性が高い突然変異株を得ることができました。
熱、発酵、精製などの過程で食品中のDNAはどんどん分解がすすんでいきます。4班は、大豆を焼く、煮る、蒸す、発酵するとDNAがどのくらい分解するのか調べました。いろいろな条件で調理した大豆からDNAを抽出し、PCRで100bpと800bpのDNAの断片を増幅しました。どんな調理法でも100bp程度の遺伝子は検出できることがわかりました。
5班は市販のメロンの種子を無菌播種し芽生えまで育てました。得られた無菌メロンの子葉を酵素反応処理をして、プロトプラストを調整し、カルス誘導培地で培養!細胞壁が合成し、4日後には分裂細胞が観察できました!
6班は、ニンジンの形成層にAgrobacterium rhizogenesを感染させて毛状根の誘導を試みました。これがうまくできたら、同じ根菜類である高級な薬用ニンジンに応用し、有用成分の大量培養を目指したいと夢が膨らみます。
7班は、PEGを用いた細胞融合の効率をあげるために条件を検討しました。PEGの分子量、細胞数、融合手順などを検討し、赤血球とHeLa細胞の融合に最適な条件を見つけてくれました。
8班は、HeLa細胞に様々な薬品を処理し、毒性を示すかどうかMTTアッセイで確認しました。尿素やぺニシリンは高濃度でもHeLa細胞への毒性は低いようですね。
抗原からの刺激を受け抗体を産出するB細胞。9班は、B細胞の表面分子をフローサイトメトリーで解析しました。
発表後は、1年生や教員からたくさんの質問がでました。2年生はひるむことなく堂々と1つ1つの質問に丁寧に答えてくれました。やらされているのではなく、自ら責任感をもって卒研に取り組んだことが、プレゼンテーションや質疑応答からよくわかりました。2年間でここまで成長するとは。誇らしい気持ちでいっぱいです。
この3ヶ月、実験が終わるまで遅くまで残って取り組んだり、継代が必要で冬休みに登校した学生がたくさんいました。学生時代に何かにのめり込んで、やり抜いた経験は財産になるはずです。バイオの知識と高い技術力そして『自信』を身につけたみなさんなら、鬼に金棒!卒業後にバイオ業界で活躍されることを期待しています。
卒業研究の内容は学修成果展示会でご覧いただけます。
〈日時〉 2023年3月8日~3月31日
10:00~17:00(16:30まで入場) 自由にご覧いただけます
〈場所〉 東京テクニカルカレッジ B1F テラホール
バイオテクノロジー科は卒業研究、プレ卒研、RJP活動の報告をしています。
他にも建築科の模型、インテリア科の模型と家具、Web動画クリエイター科の制作ビデオなど素晴らしい学生の作品がずらりと並んでいます。ぜひ見に来てください。
★バイオ科 卒業研究ブログ バックナンバー★
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文責: 宮ノ下いずる