焼き芋の香りがするワインができた!(2年 バイオテクノロジー科 卒業研究 ワイン班)〔073〕
ワインは味覚、嗅覚、そして視覚を楽しむお酒です。
もし、焼き芋の甘い香りがするワインがあったら飲んでみたいですか?
ワインは、ブドウをアルコール発酵して造ります。発酵に使う酵母や発酵の温度を変えたら、ワインの成分、香り、色にどんな変化がおきるのか?卒業研究でワインの発酵条件による成分の変化を分析している班がありますので、ご紹介します。
100%ブドウジュースを購入し、酵母を接種しました。使った酵母は赤ワイン酵母、白ワイン酵母、そしてビール酵母です。ビール酵母はビール造りで使われる酵母ですが、ビールの原料である麦汁ではなくブドウ果汁でもアルコール発酵がおきるのか興味がわきます。
それぞれの酵母を添加したブドウジュースを三角フラスコに入れ、20℃、30℃、40℃の恒温機で4週間にわたり培養し、1週間ごとにワインの色や香り、成分(糖、有機酸、ポリフェノール、アミノ酸、アルコール濃度)を分析しました。
1週間後、さっそくブドウ果汁から気泡がでてきました。二酸化炭素が発生しているということは、発酵が進んでいる証拠です。サンプルの香りを嗅がせてもらいました。なんと、使う酵母によって芳香が全く違うのです。これには驚きとともに感動しました。
ビール酵母を加え40℃で発酵したブドウ果汁は、甘く焦げたような香りがします。どこかで嗅いだことがあるような、でも思い出せない…。「これは、焼き芋のにおいじゃない?」と誰かが言い、みんな顔を見合わせ納得しました。おそらく、40℃条件では、アルコール発酵が進まず、糖が残ったので甘い香りが強かったのかもしれませんね。
「通常、ワインは25~35℃で培養して造るのですが、40℃でも発酵することがわかり、興味深かったです。やはり赤ワインを造るには、赤ワイン用の酵母が適してますね。温度は30℃がベスト。発酵後に測定したところ、糖の濃度が最も低いことから、一番発酵がすすんでいることがわかりました。香りもよく、酸味、苦みのバランスもよかったです。」とKさん。
東京テクニカルカレッジのバイオテクノロジー科では、飲料用のアルコールの製造はできませんが、微生物の発酵や分析技術を身につけられるので、現在、醸造所で働いている卒業生も多いです。今年度(2021年度)も、女性1人が酒蔵メーカーから内定をもらっています。4月から日本酒の製造をする蔵人(くらびと)になるようですよ(*^^*)
次週も卒業研究の様子をお知らせ致します。お楽しみに★
醸造所で働く先輩を深堀り!
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『専門学校で培った経験を武器にクラフトビール業界に旋風を巻き起こす!』
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2020年度 早口で3回言えたらすごい! ジアリルジスルフィド&ベータクリプトキサンチン
→ ミカンの成分分析
2020年度 毛だらけの葉 → アグロバクテリウム法での形質転換
2020年度 自作しちゃいました!電気泳動装置 → 電気泳動装置の開発
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文責:宮ノ下いずる