卒業生インタビュー きっかけはTTCバイオ Part5「大学を中退して専門学校へ 挫折経験をバネに 電力業界で働く」(東京テクニカルカレッジ バイオテクノロジー科)〔086〕
資格試験の受験資格を証明する書類の申請に来校した今村さん。書類ができるまでの間に、バイオテクノロジー科に顔を出してくれた。6年ぶりの再会だ。目指している資格は甲種危険物取扱者。難関の国家資格の1つ。これを取得すると、消防法に定められているすべての危険物を扱うことができ、大量の薬品を使う工場などで保安監督業務ができるようになる。卒業後、職種を何度か変えたと聞いていたが、今はどんな仕事をしているのだろう。
TTCバイオ科に入学したきっかけを尋ねると、苦笑しながら「私の場合、妥協と挫折を繰り返した結果、いつの間にかTTCのバイオ科にいたという感じですよ。」と話す。大学に進学したが、体調を崩し退学。それからどんな思いでTTCに入学したのか、当時の苦しい胸の内を赤裸々に語ってくれた。
今村さん Y社 油中ガス分析および絶縁油分析による油入電気機器の異常診断を行うエンジニア
2015年度 バイオテクノロジー科卒業
―――東京テクニカルカレッジのバイオテクノロジー科を志望した理由は?
私は、将来の目標がないまま高校を卒業し、なんとなく好きな分野の学部がある大学に2年通った後、過酷な生活に心身が追い込まれ、留年が決定したことを機に退学しました。大卒という学歴を手に入れられず、目標も見失いかけ、親に多大な出費をさせてしまったことに負い目を感じる日々を送っていました。この頃、TTCバイオテクノロジー科へ行き説明と面接を受けました。
入学の決め手はオープンキャンパスに参加した際に先生や先輩が親身に相談に乗ってくれたところです。とは言っても、教育熱心だった両親を思うと、大学を辞めて専門学校に通うことに対して劣等感もありました。こんな妥協と挫折からの始まりでしたが、結果的には、友人に恵まれ、今の仕事ではここで学んだ知識や技術が活かせているので、入学して本当によかったと心から思っています。
―――学生時代の心に残っている思い出を教えてください。
1) 授業について
特に印象に残っているのは1年の動物取扱い実習です。マウスを解剖する前に臓器名を覚える小テストをしました(40の臓器を覚えます)。点数が悪い学生があまりに多いことに、松延先生が「その程度の前知識で解剖をしても意味がない。それじゃ解剖のために死んだマウスに対して失礼だし、可哀想だ。」と声を荒げていたことを覚えています。私は幸い悪い点数ではなかったのですが、実験に使われる動物に真摯に向き合わなければならないことを授業で学びました。
2) 卒業研究について
市販のカマンベールチーズから菌を分離し、単離した菌を使って牛乳からチーズを作り、経時的にアミノ酸組成がどのように変化していくかを研究しました。熟成させる段階でコンタミしてしまうことが多く、苦労した思い出です。
3) イベントについて
池袋のイベントや学園祭で、アルギン酸ビーズを作ったのを覚えています。アルギン酸ナトリウムの濃度が低いとカプセルが崩れてしまうので、高い濃度を作るため必死に溶かしました。
4) 先生について
大学との一番の違いは、先生と学生の距離が近いことです。勉強だけでなく、就職活動のことを気軽に相談できるのは良いことだと思います。
5) 友人について
私は、非常に内向的で、あまり人と関わろうとしていなかったのですが、現在のように外交的に変われたのはTTC時代の友人のおかげだと思っています。
―――バイオ科での学びが現在の仕事に活きていると感じることはありますか?
授業で学んだことが活かされたのはバイオ基礎実習で行った中和滴定です。あとはクロマトグラフィーの知識が少し役立ちましたが、これに関しては入社してから覚えたことがほとんどです。さらに覚えなければいけないこともたくさんあります。もっと在学時代に関心を持っておけばよかったです…
―――先輩から在学生へエールをお願いします。
就職活動は早めから、念入りにがんばってください。もしうまくいかなくても諦めないでください。私自身が「大学中退→1年間フリーター→TTC→チェーン展開ラーメン店→人材派遣会社→正社員登用」と、経歴が綺麗とは言えません。軌道修正さえできればどうにでもなります。
そのために、分野外でも興味を持ったらどんどん勉強してみてください。その分野の会社のHPを見るのも何らかの学びになるはずです。業務内容に関する資料を公開している会社は多いですよ。
―――これからの夢を教えてください。
電気系に就職したからには、電気の知識のエキスパートになりたいです。現在は、電気工事士や電験の勉強をがんばっています。他の分野でも興味を持つことが多いので、進みは遅いのですが…
今の仕事は電力インフラを守るために必要不可欠な業種です。これから通信技術の向上、電気自動車の普及等で電力の消費は増えていくことでしょう。発電に必要なエネルギーの確保に課題はありますが、それこそバイオテクノロジー科の後輩たちに興味を持ってもらいたい分野のひとつです。天然ガスや石油が枯渇してしまう前に手を打つ必要があります。これからも便利な暮らしを続けていく為に、電力インフラを守ることが私の夢であり、務めです。
今村さんは、甲種 危険物取扱者試験に一発合格した。先月、合格を知らせるため、バイオ科の同期と一緒に再び来校してくれた。みんな元気そうで変わりない。卒業した今でも、学生同士がつながっていてTTCに集合してくれることが嬉しい。時間か経っても、場所が離れていても、進む道が違っても、学生時代に過ごした友人との関係は続いていく。
今村さんは、なぜ電気の仕事についたのか。「電気の仕事は、おそらくなくなりませんからね。何より安定した生活が一番なんで。」と、いたずらっぽく笑った。今村さんの思い描く「安定した生活」とは、自分が生活に困らなければいいということではなく、電力インフラを守り支えることで、みんなが安心して暮らせる未来なのだろう。笑顔の中の真剣な眼差しを見てそう思った。
◆卒業生インタビュー バックナンバー◆
Part1 西尾さん(2008年 バイオ科卒)
Part2 植竹さん(2008年バイオ研究科卒)
『専門学校で培った経験を武器にクラフトビール業界に旋風を巻き起こす!』
Part3 今野さん(2020年バイオ科卒業)『文系大学を出てから専門学校でバイオ技術を学ぶ!医薬品開発を仕事に』
Part4 吉野さん(2021年バイオ科卒業)『私が証明します。いつからでも学び直せる!』
◆オープンキャンパスのお知らせ◆
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5月29日(日)AM10:00~12:30 PM14:00~16:30
担当講師 大江
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文責 :宮ノ下いずる