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2021.11.19 バイオテクノロジー科

遺伝子組換え(GM)食品のPCR検査(東京テクニカルカレッジ バイオテクノロジー科 2年 バイオ総合実験1)〔063〕

さっそくですが、コーンスターチのパッケージにこんな表示がありました。原材料名:とうもろこし(遺伝子組換えでない)。

『遺伝子組換えでない』と書いてありますが、それを証明することはできるのでしょうか?

はい、遺伝子組換え生物(GMO)が食品の原材料になっているか調べる方法があります。ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)です。今回は、外国製のスナック菓子にGMトウモロコシが使われているかどうかをPCRで調べた2年生の実験をご紹介します。

遺伝子組換え(GM)食品とは、他の生物がもつ有用な遺伝子を導入したGMOから作られた食品です。アメリカで栽培されているトウモロコシのほとんどが、害虫の食害を受けない遺伝子などを導入して作られているので、トウモロコシを原材料とするスナック菓子にも、このGMトウモロコシが使われている可能性があります。そこで、アメリカで市販されているトウモロコシ菓子と、対照としてGMパパイヤ・レインボー(注)からDNAを抽出し、導入した外来遺伝子(35sプロモーター配列など)をPCRで検出する実験を行いました。

サンプルは、アメリカで購入したトウモロコシ菓子のドリトスとチートスです。これらは、日本の市場にでているものではありません。

 

〈スナック菓子を乳棒ですりつぶす様子〉

まず、サンプルを乳鉢ですりつぶし、キレックス・レジンでDNAを粗抽出しました。

抽出したDNAは、PCR反応液と合わせ、サーマルサイクラー※にセット。PCRを行い、植物由来の遺伝子(光合成に関与する遺伝子)と、外来遺伝子を増幅しました。

〈PCR産物をアガロースゲルにアプライする学生〉

サーマルサイクラーからPCRチューブを取り出し、PCR反応液と染色液をパラフィルム上で混合しました。いよいよ、アガロースゲルにサンプルをアプライ(注入)します。注入する時は、手が震えないようにピペットに手を添えるのがポイントです。

 〈PCR増幅バンドの写真を見てディスカッションをする大藤道衛先生と学生〉

 

 

結果は、ドリトスとチートスから植物由来および外来遺伝子の由来の増幅断片が検出されました。このことから、アメリカで市販されているトウモロコシ菓子は、GMトウモロコシを使って生産されていることがわかりました。トウモロコシ菓子を作る過程には、原料のトウモロコシを粉にしたり油で揚げたりと、熱や乾燥などの加工が施されますが、それでも遺伝子を検出できるとは驚きです。

以前紹介した遺伝子組換え実験はカルタヘナ法に基づき閉鎖系での実験が必要でしたが、今回のように食品に導入したGMO由来の遺伝子を検出する場合は、封じ込めの必要がないため、人数制限をせずに開放系で実験ができるのがメリットです(*^^*)

 

本実習のカリキュラムは本学実習連携団体であるBio-Consulting Japanと連携して作成し、授業進捗管理・成績評を行っております。

 

注:GMパパイヤ・レインボーについては、「遺伝子組換えパパイヤ物語

(くらしとバイオプラザ21(本学後援会団体))に解説があります。また、TTCバイオカフェでも取り上げ試食会もいたしました。

謝辞:この授業では、国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構 生物系特定産業技術研究支援センター(BRAIN)より、“日本の「農と食」最前線”をご提供いただき副読本といたしました。

 

本日のバイテク用語№29

サーマルサイクラー: 正確な温度制御ができ、チューブの中でポリメラーゼ連鎖反応(PCR)により目的のDNAを増幅させることができる機器。バイオ科には2台あり、PCR反応を行う植物工学実習やバイオ総合実習で使用しています。

 

★遺伝子工学系の実験のブログ バックナンバー★

2009年 DNAチップ研究所、石澤洋平研究員の特別講義(PCR実習)

2009年 GFPを用いた遺伝子発現実験を実施致しました。

2013年 授業紹介4:遺伝子工学実験

2016年 授業紹介22:PCR実験

2016年 授業紹介24:PCR実習 ①食品・食材からのGM配列の検出実験

2020年『光る大腸菌』〔007〕

2021年『光る大腸菌 パート2 光る物質の正体は?』〔020〕

2021年『1本3300円のバラ!』〔023〕

2021年『コロナ禍で行う遺伝子組換え実験』〔041〕

2021年『超かんたん!植菌はガラスビーズを転がして』〔054〕

 

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11月28日(日)『動物培養細胞シュミレーション!』

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担当講師 宮ノ下

 

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文責 宮ノ下いずる

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