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2020.10.02 バイオテクノロジー科

光る大腸菌 (バイオ科 応用バイオ化学実験 2年)〔007〕

こんなに発光するとは!とても神秘的ですね。

 

大腸菌に紫外線ランプを当てると、緑色の蛍光を放って観察されました。今回は、大腸菌の遺伝子発現実験をしている2年生の授業をご紹介します。

(左:GFPなし大腸菌 右:GFPあり大腸菌)

 

今年度は、COVID-19対策のため、多くの実験が密室をさけ換気を行って実施しています。

しかし、この遺伝子組換えをともなう実習だけは、組換え遺伝子の拡散を防止するため、閉鎖系で行わなければなりません。それは、遺伝子組換え生物の取り扱いは法令 (通称「カルタヘナ法」)で厳しく規制されているからです。

 

どのように閉鎖系の実験を行っているのか見てみましょう。光る大腸菌の観察をした前日の授業から、遺伝子組換えの実験を行っていました。実験内容は以下の通りです。

(実験内容の概略図)

オワンクラゲ由来の「GFP※」と呼ばれる光るタンパク質の遺伝子をプラスミドと呼ばれる遺伝子の運び屋に連結します(ライゲーション)。このGFPが入ったプラスミド(組換えDNA)を大腸菌に入れます(形質転換)。組換えDNAを形質転換した大腸菌を培地にまいて(植菌)、培養し大腸菌の体内でGFP遺伝子を発現させます。紫外線を当てると、GFPをもつ大腸菌(コロニー)は光って観察されます。

 

(ピペット操作を熱心に指導する大藤道衛先生(開放系))

 

(16℃の恒温槽にサンプルを入れる様子(ライゲーション))

 

(形質転換の反応液を調製する学生)

 

(培養した大腸菌に紫外線ライトを当て、GFPの発現を確かめる様子)

今回の実験では、「ライゲーション」「形質転換」「植菌」の一部の操作は、組換え遺伝子が拡散する恐れがあるため、閉鎖系でおこなわなければなりません。組換えDNAの形質転換と植菌操作は、学生数を制限し、閉鎖系実験室でおこないました。

 

バイオハザードを掲示して、密閉した室内(閉鎖系)で組換え実験をする学生。

 

(閉鎖系の実験室内)

入室する人数をしぼり、密集、密接をさけます。操作時間は15分。COVID-19対策も考慮し短時間で作業します。その後、光る大腸菌はどのように実験に使っていくのか、学生に聞いてみました。「光る大腸菌は液体培養で増やしてから、プラスミドを抽出します。その後、PCRや制限酵素反応でプラスミドに挿入したGFP遺伝子を解析します。」と学生。

 

COVID-19対策をしながらの実習なので、例年より制約を受けていますが、学生は、遺伝子組換えの知識と技術をしっかり習得しているようです。次回は、GFP遺伝子の電気泳動や抽出したGFPタンパク質の
精製の様子を
レポートします!

 

これからも、安心、安全を確保しながら、学生一人一人が実験技術を身につけられるように、講師一同、知恵をしぼり工夫をこらして実習を続けていきたいと思います。来週のブログもどうぞお楽しみに★

 

『光る大腸菌』のブログの続きはこちら(2021.01.15)

 

◆本日のバイテク用語 №5◆

GFP:green fluorescent proteinの略語。オワンクラゲがもつ蛍光性のタンパク質です。 下村修博士がクラゲから分離・精製しました。下村博士はこの発見で2008年にノーベル化学賞を受賞しています。GFPは、遺伝子組換えを行う際、目的の遺伝子が細胞内で発現しているかを判別するために、レポーター遺伝子として利用されます。 

 

☆ 遺伝子組換え実験のカリキュラム作成・授業評価は、職業実践専門課程の本校 演習・実習連携先企業Bio-Cousulting Japanと連携して行っています。 

 

文責 :宮ノ下いずる

 

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