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2021.08.27 バイオテクノロジー科

第3回 学生通信 (バイオ科)〔G03-051〕

月末の金曜日は、RJP活動で広報を担当している学生によるバイオ科通信をお届けしています。

8月は、RJP9班の広報部が投稿してくれました。文豪Wの独特の世界観をお楽しみください。

(以下原文ママ)

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こんにちは、バイオ科学生通信です。

第3回では、RJP(Real Job Project)における未紹介の企画に加えて、既に紹介した企画の進捗(しんちょく)を取り上げる。今回はバイオ科きっての偏物(かたよもの)が執筆担当なため、これまでとは幾(いく)ばくか異なる趣(おもむき)の印象を与えるかもしれない。

 

〈RJP企画紹介〉

その1 光合成反応の模型作り

植物細胞内で起こる化学反応を分かり易く伝えるために模型を作る事を目的とし、展示や授業で使う事を目標としている。現在は葉緑体を始めとした模型の作成に取り組んでいる。

①葉緑体とは

光合成生物にみられる細胞小器官であり、プラスチド(色素体)の一種である。植物細胞の大きさが10~100μmであるのに対し、葉緑体の大きさは5μmである。因みに肉眼が認識できる最小の大きさは100~200μmである。葉緑体は植物細胞における代謝の重要な中心であり、主要な機能である光合成に加えて、窒素代謝、アミノ酸合成、脂質合成、色素合成など行っている。※1μm=0.001mm

葉緑体自体は外包と内包を持った二重膜構造をしており、この構造が細胞内共生説(さいぼうないきょうせいせつ)の根拠の一つとされている。又、葉緑体内部には扁平(へんぺい)な袋構造をしたチラコイド膜が層状に重なってグラナを形成している。チラコイド膜にクロロフィルaを代表とする光合成色素が含まれており、光の吸収を効率よく行っている。更に、その外側はストロマと呼ばれる液体が内部を満たしている。ここに葉緑体のDNAが存在しており、その独自性が細胞内共生説の二つ目の根拠である。

 

②模型作りの意義

材料の検討と調達に苦心(くしん)したために、模型製作は始まったばかりである。葉緑体を400万倍スケールで可視化するという事は、植物細胞内にある葉緑体以外の細胞小器官について400万倍スケールで無視する事になる。神は詳細(しょうさい)に宿るが、しばしば人はそれを黙殺(もくさつ)する。だからこそ、肉眼で捉えられない世界の一端を手掛かりに生命の不思議と奥深さに興味を抱かれる事を期待する。

 

その2 マスクの製作

昨今マスクは日常において必需品(ひつじゅひん)となっている。マスクの生地にもウレタンや布マスクなど様々な種類があり、着け心地や透過率(とうかりつ)など性能に差がある。今までで使われたことのない素材を使って性能を比較し、なるべく高性能で着け心地の良いマスクを作る事を目標とした。

ビーカーに水を加えて菌を洗い、血球計算盤(けっきゅうけいさんばん)で菌数を調べて透過率を計測した。

②最適な菌の大きさの特定

・菌液の調製(ちょうせい)

0.85%生理食塩水を18mL調製し高圧蒸気滅菌(こうあつじょうきめっきん)した後、2gのドライイーストを加え菌液とした。

・菌液の希釈(きしゃく)

調製した菌液0.2mLと0.1mLにそれぞれ9.8mLと9.9mLのIEW(イオン交換水)を加え、50倍希釈と100倍希釈とした。

・死滅液の調製

50倍希釈と100倍希釈に10倍希釈した漂白剤を1mL加え、塩素による死滅液とした。

・ミクロメーターで各イーストを確認した。

③BEFと結果

BFE(Bacterial Filtration Efficiency)とは「バクテリア(細菌)ろ過効率(ろかこうりつ)」を意味し、約3μmの細菌を含む粒子のろ過率(採集)出来たかを示している。主に花粉や咳・くしゃみを伴う水分を含んだウィルスの飛沫などが対象である。「BFE99%」という表記であれば、約3μmの細菌を含む粒子99%ろ過する事になる。

一般的なマスクの規格であるBFEは約3㎛の細菌をどれくらいろ過できるかを調べるものなので高圧蒸気滅菌したドライイーストが最適である事が分かった。

因みに、人体細胞の大きさは6~25μmであり、コロナウィルスの大きさは0.1μmである。ミクロな世界がマクロな世界に多大な影響を及ぼしている。神経学者ラマチャンドランはスモールサイエンスの重要性と醍醐味(だいごみ)を説く。コロナウィルス同様、小規模な物事の影響力が必ずしも小さい訳ではない。

 

 

その3 ヒマワリの成長

①植物栽培の意義

孔子は弟子たちに漢詩を読むよう奨めた。漢詩から動植物を学べるからと。孔子が生きた時代は約2500年前である。その頃から既に教育の場には動植物が少ない事が窺(うかが)い知れる。ヒマワリの栽培はバイオテクノロジーらしくないかもしれない。しかしバイオテクノロジーが生物を対象としているなら埒外(らちがい)とも言い難い。

今年は日照不足の心配もなく植物栽培には良好な日々が続いた。播種から2ヶ月を経た7月下旬、照り付ける太陽に向かって屹立(きつりつ)するヒマワリは蕾に開花の予兆を湛(たた)えて居る。

尚、9月以降は夏の花を使用したハーバリウムの製作を計画している。ヒマワリの成長と同じく今後とも順調な活動を期待する。

 

その4 ブリザーブドフラワーの進捗

『美しい「花」がある、「花」の美しさという様なものはない』とは、小林秀雄の有名な言葉だがバイオテクノロジーは美しい花の「色」を変えようと試みる。しかし、その方法の確立には模索が必要である。ここでは、7月までの方法の精度を紹介する。

方法

①ツツジを採取する ②80%メタノールで脱色する ③グリセリンとIEWの容積比1:1の混合液にインク(青色)を30滴入れたもので染色 ④キッチンペーパーで水分を拭き取り、3~7日間ネットに乗せて乾燥

結果

インク量30滴では染色が不充分であるため、些(いささ)か透けている。さらに画像からでは分からないが、乾燥しても花がべたついている事、染色・乾燥した花に生花と同じ様な美しさはない事から、染色液の作成方法はこれからも改善するつもりらしい。

始めに「当麻(たいま:小林秀雄の作品)」から引用したが、読者諸賢(どくしゃしょけん)はその後に続く文をご存知だろうか?それはこんな風に続く、 「肉体の動きに則って観念の動きを修正するがいい、前者の動きは後者の動きより遥かに微妙で深淵(しんえん)だから」。これの顰(ひそみ)に倣(なら)えば、「化学の法則に則って花弁の色を改変するがいい、天然の色は人工の色への変更は、存外に困難で試行を要するが」。染色液に作成方法の改善に加え、9月以降はデザインの検討が予定されている。

どの班も今後の進捗に要注目である。

文責: RJP9班 学生W

 

バックナンバー

2021年 6月号第1回 学生通信(バイオ科) RJP9班

2021年 7月号第2回 学生通信(バイオ科)RJP10班

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◆オープンキャンパスのお知らせ◆

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午前 10:00~12:30

午後 14:00~16:30

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