超かんたん!植菌はガラスビーズを転がして(バイオテクノロジー科 応用バイオ化学実験 2年)〔054〕
こんにちは、東京テクニカルカレッジ バイオテクノロジー科の宮ノ下です。
毎年、この時期2年生はGFP遺伝子組換え実験をします。昨年のブログ『光る大腸菌』では神秘的な光を放つ組換え大腸菌を紹介しましたが、今年もGFP遺伝子を形質転換した大腸菌に紫外線を照射すると、満点の星空のようにコロニーが輝いて観察されました。毎年行われる実験ですが、この美しさは何度見ても感動します。
(左 GFPなし大腸菌 右 GFPあり大腸菌)
通常の実験は換気を行いながら開放系で行っていますが、遺伝子組換えをともなう実験は、組換え大腸菌の拡散を防止するため、閉鎖系で行わなければなりません。※注)
今回も、組換えDNAの形質転換と植菌操作は、学生数を制限し、閉鎖系実験室でおこないました。
今回のブログは、閉鎖系で行う『植菌』操作について取り上げます。
『植菌』とは、微生物を培地にまく操作のこと。実習では、オワンクラゲ由来のGFPをもつ組換えDNAを形質転換した大腸菌を扱うので閉鎖系で植菌しました。植菌は菌液を寒天培地に入れ、コンラージ棒で塗り広げるのが一般的ですが、この実習ではコンラージ棒は使わず5mm大のガラスビーズを使います。
LB培地※に大腸菌液を入れた後、滅菌したガラスビーズを10粒ほど入れ、シャーレを回してビーズを転がすと、大腸菌を均一に培地に塗り広げることができます。
「シャカシャカ」「ガラガラ」教室中に鳴り響く大きな音。ガラスビーズを使って植菌するときの音です。4~5人が同時にシャカシャカすると結構騒々しくなります(笑)。
コンラージ棒のように植菌するたび火炎滅菌が必要なく、より均一に塗り広げられる点や、一度に複数枚のプレーティングが可能なのがガラスビーズの利点です。さらに、ビーズをオートクレーブにかければ繰り返し再使用できるのも経済的です。
植菌後にシャーレのふたをパラフィルムで包み閉鎖系として、37℃で一晩培養すると大腸菌のコロニーが形成されます。それに紫外線を当てると、GFPをもつ大腸菌(コロニー)は写真のように光って観察されます。
〈大腸菌のコロニーに紫外線を照射する学生〉
COVID-19拡散防止対策をしながらの実習なので、例年より制約を受けていますが、遺伝子組換えの知識と技術をしっかり習得できるように工夫して実験を行っています。これからも、安心、安全を確保しながら、学生一人一人が実験技術を身につけられるように取り組んでいきます。
注)遺伝子組換え生物の取り扱いは法令 (通称「カルタヘナ法」)を遵守し、組換え生物の拡散を防止のため、実験は閉鎖系で行います。
遺伝子組換え実験のカリキュラム作成・授業評価は、職業実践専門課程の本校 演習実習・連携先企業、Bio-Cousulting Japanと連携して行っています。
◆本日のバイテク用語№26◆
LB培地:一般的な細菌を培養する培地ですが、特に遺伝子工学の分野では大腸菌の培養に使用します。成分は、トリプトン(1%)、酵母エキス(0.5%)、塩化ナトリウム(1%)。寒天培地を作製する場合は、寒天を1.5%加え、オートクレーブで滅菌して使用します。LB培地は実習でよく作製する培地なので、ほとんどの学生が成分と濃度を暗記しています。
★遺伝子工学実験の関連ブログ バックナンバー★
『光る大腸菌』〔007〕
『光る大腸菌 パート2 光る物質の正体は?』〔020〕
『1本3300円のバラ!』〔023〕
『コロナ禍で行う遺伝子組換え実験』〔041〕
◆オープンキャンパスのお知らせ◆
『本格的な無菌操作の実験体験』
9月26日(日)
午前 10:00~12:30
午後 14:00~16:30
無菌操作はバイオで必須の技術です。今回は酵母の画線培養にチャレンジ!
担当講師:松井
オープンキャンパスのお申込みはこちら
(実験を担当する講師全員2回のワクチン接種を終えています。)
バイオ科 公式Twitter 毎日更新中♪
バイオテクノロジー科 公式 (@TTCbio)
バイオ科の学生Twitterは毎週金曜日更新☆
RJP学生 広報部Twitter (@BioRJP)
こちらも宜しくお願いしま~す(*^ ^*)
文責 :宮ノ下いずる