ボンベの色は水素が赤で窒素がグレー ~ガスクロマトグラフィー(GC)で脂肪酸組成を解析~ (バイオテクノロジー科)〔085〕
「窒素は安全ですが、水素ガスは爆発しやすい危険なガスですよ。」機器室から大江先生の声が聞こえてきました。どうやらガスクロマトグラフィー(GC)の説明をしているようです。今回は、油の脂肪酸の組成をGC分析している2年生の食品化学分析実習をご紹介します。
今回は、4種類の植物油(大豆油、サラダ油、ベニバナ油、オリーブ油)に含まれる脂肪酸の組成をガスクロマトグラフィー(GC)で分析しました。
まず脂肪酸について説明しましょう。脂肪酸とは、炭素が鎖状につながった分子で、その鎖の一端に酸の性質をもつカルボキシ基(-COOH)を持つ構造体です。脂肪酸は、炭素の鎖の長さや炭素間の二重結合の数と位置によりたくさんの種類があります。二重結合がない脂肪酸は飽和脂肪酸、二重結合のある脂肪酸は不飽和脂肪酸といいます。
グリセリンは脂肪酸のーCOOHと結合できる3つの手をもっています。グリセリンに3つ脂肪酸がつながったものを「トリグリセリド」と呼びます。天然の植物油のほとんどは、このトリグリセリドです。植物油は、リノール酸、オレイン酸、α-リノレン酸など常温で液体の不飽和脂肪酸が多く含まれているのが特徴です。
話は変わりますが、油の名前について疑問があります。「大豆油」「オリーブ油」「ごま油」など原料由来の油はわかりますが、「サラダ油」のサラダの語源は何でしょうか。日清オイリオのHPによると、サラダ油はサラダ料理などで生でも使用できる、精製度が高い良質な食用油ということで名付けられたそうです。てんぷら油と同じように用途につけられた名前なのですね。日清サラダ油の成分は、食用大豆油と食用なたね油でした。
それぞれの油にどんな脂肪酸がどのような割合で含まれているのかを調べるために、食用油に含まれるグリセリド脂肪酸をメチルエステルに変換してからGCに注入しました。
注入された試料はキャリアーガスによってカラムへ送り込まれます。キャリア―ガスとしては窒素、ヘリウム、アルゴン、水素などがありますが、特に窒素、ヘリウムがよく利用されます。
誤用防止のために高圧ガスボンベの外観色はガス種ごとに決まっています。水素は赤、窒素はグレー、動物細胞培養で使った液化炭酸ガスのボンベは緑です。赤は危険を想像させる色なので、爆発しやすい水素の色としては覚えやすいですね。バイオテクノロジー科のGC分析では、安全な窒素をキャリアーガスとして使っています。
カラムを通った脂肪酸の解析はクロマトグラムで行います。クロマトグラムの解析法の詳細はこちらのブログをご覧ください。
★バックナンバー★
2020年度 ガスクロマトグラフィーで脂肪酸を検出しよう
2020年度 リノール酸たっぷり大豆油
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担当講師 大江
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文責: 宮ノ下いずる