実験で検証!オリジナルコンブチャをつくる 2023年RJP活動報告 №2(東京テクニカルカレッジ バイオテクノロジー科)〔134〕
東京テクニカルカレッジ(TTC)にはRJPというユニークな授業があります。RJPは、Real Job Project(リアルジョブプロジェクト)の頭文字で、学生が主体となり企画、予算計画、実行、振り返り、改善などのプロセスを経験から学ぶTTC独自のプログラムです。バイオテクノロジー科では、実験で身につけた仮説検証のノウハウを活かして、モノづくりや理科実験、花壇整備などを行いバイオテクノロジーの魅力を発信しています。この活動を通して、チームで考え、問題を解決する力を養うのが狙いです。
今年のバイオ科は1,2年生混合の6班編成で、毎週金曜日の午後(6~12月)にRJPの活動をしています。今回のブログでは、オリジナルのコンブチャを制作している食品発酵班の取り組みをご紹介します。
微生物による発酵に興味があり、健康や美容への意識の高い1年生3人からなるコンブチャ班。
「コンブチャはぬか漬けやヨーグルトと同じように家庭で作ることができる発酵食品です。整腸作用やコレステロールを下げるなど健康効果が高いうえ、ダイエットやアンチエイジングにも期待されています。」と班員のSさん。アンチエイジング⁉これはぜひ取材させてください!
コンブチャは、「コンブ」と書いていますが日本の昆布茶とは全く違うものです。材料は甘い紅茶と発酵を促す微生物だけ。学生はコンブチャ作りに欠かせない微生物(スターター)をインターネットで購入しました。スターターには主に酵母や酢酸菌などが入っているようです。
ここで、微生物の働きを少し説明しましょう。
酵母はアルコール発酵をおこなう微生物で、糖からアルコールを生成します。酢酸菌は酢酸発酵を行う微生物でアルコールから酢酸を生成します。酢酸菌の中にはセルロース膜をつくるタイプがあり、コンブチャではこうした酢酸菌を使うため繊維質の膜(スコビー)が産生されるようです。甘い紅茶にこれらの菌を入れ、アルコール発酵や酢酸発酵させることでスコビーという分厚い膜とほのかな甘みと酸味を感じる発酵飲料を作ることができます。
説明はこの辺にして、さっそくRJP活動でのオリジナルコンブチャ作りを紹介しいきましょう。
検証1 おいしいコンブチャに適したお茶は何か。
一般的に紅茶を使ってコンブチャを作製しますが、紅茶だけでなく緑茶やウーロン茶でも独特の風味をもったおいしいコンブチャができるそうです。彼らが、まず取りかかったのはコンブチャに適したお茶を探すことです。紅茶のほか、緑茶、ジャスミン茶、ウーロン茶の4種類でコンブチャを作製しました。
ティーバッグでそれぞれの茶を抽出し、キビ砂糖を加えて甘いお茶をつくりました。お茶は滅菌した瓶に入れ、そこにスターターを加えます。通気性がいいキッチンペーパーで蓋をして30℃で培養を開始しました。
培養してから1週間でスコビー膜が形成されました。順調に発酵がすすんでいるようです。培養期間が長くなるとスコビー膜ができては沈み、何層にもなりました。
発酵から3週目と4週目にコンブチャの試飲会をしました。学生と教員合わせて15人ほどが試飲に参加しました。「全体的にお茶というよりジュースっぽい」「紅茶は酸味と甘みのバランスがよい」「ジャスミン茶はフルーティーで飲みやすい」「緑茶は酸っぱくて苦みが強い」など、さまざまな意見がありました。
簡単な官能検査もおこないました。甘さ、酸味、後味、苦味、お茶の風味がするかどうか、うま味の観点から総合的に評価をしてもらい一番おいしいコンブチャを1つ選んでもらいました。
ランキングにしたところ、培養3週目で一番人気のコンブチャはウーロン茶を使ったもので、4週目はジャスミン茶でした。ウーロン茶は4週目では、一番不人気になり、同じ茶葉由来でも培養期間によって味わいが変わってしまうのが驚きでした。
検証2 培養温度により酸度、糖度はどのように変化するか。
コンブチャの甘みや酸味をもっと科学的に調べるために、培養したコンブチャのpHや糖度を測定しました。まずは、大量のコンブチャを作ります。茶葉は紅茶にしぼりました。滅菌した瓶に甘い紅茶を入れ、スターターを加えたら25℃、30℃、35℃の3条件で培養開始!1週間も経つと、表面にスコビー膜が形成されてきました。
3週間培養した結果、30℃で培養したコンブチャが一番分厚いスコビーができました。一方、35℃で培養するとスコビーがめくれて、とろけた状態になりました。また、35℃では、蒸発が激しく、コンブチャの液量がどんどん少なくなりました。
酸度と糖度の測定は、pH試験紙と糖度計で行いました。
pHの測定結果です。pHが下がるほど酸度が増したと言えます。下の左図を見ると、35℃で一番酸度が高くなり、酢酸菌が活発に発酵していると考えました。
続いて、糖はアルコール発酵により使われるため、培養期間が長くなるほど糖が使われ、糖度が下がると考えました。しかし、下の右図に示す通り、培養期間が長くなるほど糖度が上がる結果になりました。35℃のコンブチャは20日後には糖度11.43%まで上昇。これは、蒸発によりコンブチャが濃縮されて糖度が増したと考えられます。
4期は発酵を調整するためキビ砂糖の分量を検討したり、独特の風味をもったコンブチャを作るため、茶のブレンドも試してみたいと意気込みを語ってくれました。酸味、甘みのバランスがとれたアンチエイジング効果のある美味しいコンブチャが出来上がることを楽しみにしています!
これから2月まで月末の金曜日はバイオ科のRJP活動を紹介していきます。
次回(11月24日)は、植物班の活動を紹介します。来月のRJPブログも、どうぞお楽しみに★
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文責: 宮ノ下いずる