高校の教員向けセミナー2023『再生医療の今』を開催しました (東京テクニカルカレッジ バイオテクノロジー科)〔129〕
専門学校 東京テクニカルカレッジ(TTC)バイオテクノロジー科は今夏も高校の先生向けのセミナーを開催しました(2023年8月22日)。
残暑の厳しい中、複数の高校の先生にご参加いただきました。今年度は『再生医療の今』をテーマに、細胞培養技術を学べる実験と、幹細胞を用いた医療の応用に関する講話の2部構成です。
体験実験では、実際にバイオ科の細胞培養実習で行っている接着系の動物細胞を用い、顕微鏡観察と計数にチャレンジいただきました。シャーレで培養したまま生きた細胞を観察できるのが倒立位相差顕微鏡です。倒立位相差顕微鏡の原理や操作方法を説明して動物細胞を検鏡すると、敷石を敷いたように接着する細胞を観察できました。
「位相差を使うと、透明な細胞の輪郭がはっきり見えるのですね。プレパラートを作製しなくても細胞観察ができるのがいいです。」とD先生。
他にもオートピペッターやマイクロピペット操作を学びながら、細胞培養技術を体験していただきました。接着細胞をトリプシンではがす前にPBS(-)で細胞を洗浄するのはなぜか、動物細胞培養は5%CO2インキュベータで行うのはなぜかなど、さまざまな質問がありました。1つ1つにお答えさせていただきながら、先生方の学びをより深めてもらいました。
細胞の計数は血球計算盤でおこないました。先に血球計算盤のマス目に細胞がのった様子を模式的に示した図を見ながら、細胞を数える練習をしました。カウンターを使い、大区画内の細胞を数えていきます。
「あれ?どこまで数えたかわからなくなりますね。」とT先生。笑いがおき会場がなごやかな雰囲気になりました。やはり、ある程度練習しないと、正しく細胞数を計測できません。学生も繰り返し練習することで計数技術を身につけていきます。
セミナーの後半は、講話です。スピーカーは、TTCバイオテクノロジー科で免疫学の授業を担当している吉本桂子先生(慶應義塾大学 医学部リウマチ・膠原病内科の研究室所属)です。
吉本先生より再生医療に関わる幹細胞(体性幹細胞、iPS細胞、ES細胞)の作出方法や医療利用における有効性、安全性や倫理面、そして応用研究例をご講話いただきました。(吉本先生のよしは土に口 講師紹介ブログはこちら)
特に印象に残ったのは、患者のiPS細胞から疾患の特徴を反映した病態を再現し、既存の薬を投与して病態回復効果が期待できるかを研究する分野、いわゆるドラッグ・リポジショニングの話です。
「iPS細胞を用いた応用研究はたくさんありますが、ドラッグ・リポジショニングも注目されている研究の1つです。通常の医薬品開発と比較すると、時間とコストを削減できるので、患者さんにより早く、より安く、安全な薬を提供できるようになります。」と吉本先生。
セミナー後の感想では、
「先生方の丁寧な指導が参考になった」
「専門的な話が聞けて勉強になった」
「再生医療の現状を知ることができた」
「お手伝いしてくれた学生スタッフのおかげでスムーズに実験ができた」
など嬉しい声をいただきました。高校の先生のお役に立てたことが何よりも嬉しいです。
TTCバイオテクノロジー科は2年間の専門学校ですが、細胞培養や実験動物を取り扱う実習を行っていますので、卒業後に細胞培養や薬の製造など医療分野に就職する学生が大勢します。一部をご紹介します。
卒業生の内定先
Minaris Regenerative Medicine 株式会社(2022)内定者のインタビュー記事
株式会社 U-Factor(2022)内定者のインタビュー記事
慶應義塾大学医学部研究室(2022)内定者のインタビュー記事
来年度も、専門学校での実習体験&最先端のバイオテクノロジーセミナーを開催する予定です。専門学校教育や実験に興味のある高校の先生は、ぜひ東京テクニカル バイオテクノロジー科のセミナーにご参加ください。心よりお待ちしています。
2022年度 バイオテクノロジー科 高校の先生向けセミナー 報告はこちら
2023年度 バイオテクノロジー科 高校の先生向けセミナー 案内はこちら
東京テクニカルカレッジ バイオテクノロジー科 講師紹介
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文責:宮ノ下いずる