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2021.10.08 バイオテクノロジー科

美しき顕微鏡の世界 ~ツバキの葉の断面編~ (東京テクニカルカレッジ バイオテクノロジー科 植物細胞工学実習 2年)〔057〕

私は、顕微鏡を覗く時の高揚感が好きです。この穴の先に、どんな不思議な世界が広がっているのか、大人になった今でもワクワクします。そして多くの場合、ミクロの世界は、私の期待を超え感動させてくれます。

先週、バイオ科の2年生は、植物細胞工学実習の中でツバキの葉の断面を光学顕微鏡で観察しました。いつもは反応の薄い学生が、顕微鏡を覗いて思わず『すげぇ..。』とため息。どんな驚きの景色が見えたのでしょうか。

ツバキの主脈を含む葉片を発砲スチロールのピスに挟み、カミソリで薄くスライスし切片を作製しました。植物がもつ細胞壁はセルロースやリグニンを含み硬いので、樹脂などで固めなくてもそのままカミソリで薄く切ることができます。厚さは0.1㎜以下。みんな根気強く、薄く薄く切っていきます。

葉肉切片を水で封じ、光学顕微鏡で覗いてみると…。

細胞1つ1つが秩序をもって並んでいます。身近な材料で、こんなに美しい葉肉組織標本ができるなんて驚きです。400倍で見た葉の断面がこちら↓。

ツバキの葉の表側には長細い緑色の葉肉細胞がびっしり並び、葉の裏側には球状の細胞が不規則に存在していました。緑色に見えるのは細胞内に葉緑体があるから。内部には葉脈の断面も見えます。それぞれの部位の名称や働きを確認しました。

観察した葉肉切片はホルマリンを含んだFAA液で固定※した後、ファストグリーンとサフラニンで染色しました。サフラニンはリグニンを含む固い組織(道管や師部の繊維質)を赤く染めます。ファストグリーンは細胞質を青緑に染めます。表皮細胞、葉肉細胞、師管の伴細胞などが青く染まりました。顕微鏡で観察すると、葉脈(維管束)部分が赤と青緑で染色され、1/4にカットしたスイカのような模様に。こんな風に、目と鼻をつければ、大笑いしている顔にも見えますね!

顕微鏡で見た組織をスマートフォンで写真を撮り、それを貼り付けレポートを作成しました。葉の表側と裏側では、なぜ表側の方が緑が濃いのか、光沢のあるワックス層は何か、観察してわかったことを1つ1つ丁寧にまとめます。

植物は動物に比べ、複雑な前処理をしなくても顕微鏡で簡単に組織の観察ができます。今回の顕微鏡観察で、細胞がいかに秩序だって配列し組織をつくっているのかがわかりました。

次の実習では、身近な野菜から細胞壁を取り除いた裸の植物細胞、プロトプラストを単離して顕微鏡で観察する予定です。

 

プロトプラストの単離のブログはこちら

 

◆本日のバイテク用語№27◆

固定: 組織や細胞を生体内に近い状態で保存する操作を「固定」といいます。植物の組織、細胞の形態観察をするときは、生物試料の自己分解や腐敗、劣化を防ぐために薬品による化学処理を行います。試料の化学変化を停止させるために、浸透力の強いホルマリンなどを含む溶液(例 FAA液)で固定します。

 

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文責 :宮ノ下いずる

 

 

 

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