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2021.07.02 バイオテクノロジー科

『滴定』のできない学生?うちの学生にはいません(たぶん…)〈バイオ科 1年バイオ基礎化学実習〉〔043〕

こんにちは、バイオ科の宮ノ下です。

TTCバイオ科は、学生の技術力に絶対の自信があります。それは「ここまでするの!」と驚くほど、学生が何度も繰り返し実験をするからです。今日は滴定技術が確実に身につく1年生の実習をご紹介します。このブログを読んで頂ければ、TTCバイオ科の学生に滴定ができない学生がいないことがおわかり頂けるでしょう。

滴定とは、化学反応を利用して溶液中の物質の量を測定する方法です。以前、水に含まれる硬質の濃度を測定するキレート滴定をブログで紹介しました(こちら)。今回は、滴定の中でも、基本中の基本、中和滴定です。

中和とは、酸と塩基を混合すると水と塩ができる反応ですが、中和滴定は、濃度がわからない酸や塩基を濃度が既知の酸や塩基と合わせ、中和した時の滴定量から濃度を測定する方法です。実習では、酸にはシュウ酸、塩酸、硫酸、酢酸を、塩基には水酸化ナトリウム、水酸化カリウムを用いました。まず、秤量した0.5mol/Lシュウ酸を用いて、塩基の濃度を確定し、その後、その塩基を用いて酸の濃度を決定します。

ビュレット※に塩基を、三角フラスコに酸(5mL )とpH指示薬としてフェノールフタレインを2滴入れて滴定準備完了。酸が入った三角フラスコを攪拌しながらビュレットの塩基を1滴ずつ滴下していきます。酸の液は、はじめは無色ですが、塩基1滴で一瞬赤になり、一気に色が消えます。

どこが中和点かというと、これが結構難しい。酸の溶液が完全に赤になってしまったら、中和点を超えてしまっているので失敗。無色のままでは、まだ酸性です。滴定後に、わずかにうすい赤になり30秒後に、無色なったら成功です。たった1滴で大きくpHが変わるので、滴下をやめるタイミングが難しいのが中和滴定なのです。学生は、うすい赤に変色する1滴、いやいや0.2滴、0.1滴に集中し勝負をかけます。

見学した時は、酸と塩基すべての試薬を0.5mol/Lと1.0%(v/w)溶液に調製し、それぞれの濃度の酸と塩基を総当たりで組みあわせ、中和滴定をしているところでした。酸はシュウ酸を除いて3種類あり、それぞれを2つの濃度で調製しているので合計6種類。酸が6種類×塩基4種類=24回これを3回ずつ滴定するので、24×3=81回の中和滴定!ミスがなければ81回で済みますが、中和点で滴定を止めるのが難しいので、そう簡単にはいきません。2人1組で、交互に滴定をしていきます。

 

はじめは失敗続きだった学生も、だんだんコツをつかんできました。それはそうです。最低でも81回滴定操作を繰り返すのですから、自ず(おのず)と体が覚えます。このような理由で、バイオ科の学生は1年生のうちに中和滴定の技術を完全にマスターできるようになるのです。

 

◆本日のバイテク用語№25◆

ビュレット:滴定の実験で使用し、滴下した溶液の容量を秤量するための実験器具です。ガラス製、プラスチック製がありますが、TTCバイオ科では、ガラス製の透明なビュレットが34本、褐色のものが14本あり、滴定の実験で1人1本ずつ使えるようになっています。分析化学実験では必須の実験器具になります。

 

文責 宮ノ下いずる

 

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