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2021.06.11 バイオテクノロジー科

タイムスケジュールを立てることが酵素学実験の肝(きも)! (バイオ科 バイオ応用化学実験3(酵素) 2年)〔040〕

こんにちは、バイオ科の宮ノ下です。

私が講師をしていて嬉しいことの1つは、学生の目の色が変わる瞬間を目にすることができるところです。

バイオ科の数ある実習の中でも、操作が多く猛烈に忙しい実験があります。それは、2年生の酵素学実験。秒単位でサンプルの管理が必要なため綿密なタイムスケジュールを立てないと実習時間内に実験が終わりません。実習内容の説明を受けると、腕まくりをして「よっしゃー!時間内にやり終えてやろうじゃないか」とメラメラ燃える学生たち。あの目を見ると「おっ本気スイッチが入ったな」と嬉しくなります。

 

〈本気スイッチが入った学生。目が真剣〉

 

 

今回は、β-ガラクトシダーゼという酵素の活性を調べた実習をご紹介します。ここで、酵素についておさらいしましょう。酵素は、化学反応の速度を速める生体触媒です。例えば、β-ガラクトシダーゼはヒトや大腸菌がもつ酵素の1つですが、ラクトース(乳糖)を速やかにグルコース(ブドウ糖)とガラクトースに分解させる働きがあります。実習では、ラクトースの代わりにONPGを使い、β-ガラクトシダーゼによりo-ニトロフェノールとガラクトースに加水分解させました。

酵素の主成分はタンパク質です。タンパク質は、熱や酸、アルカリで変性するため、この条件下では活性を失います。今回の実習では、溶液のpH(酸性やアルカリ性の度合い)の違いがβ-ガラクトシダーゼ活性にどう影響するかを調べていました。

 

〈実験準備にとりかかる学生〉

 

 

調べるpHの範囲はpH3.0、4.0、4.5、5.0、6.0、7.0、8.0の7段階。β-ガラクトシダーゼの酵素活性が最も高い至適pHはどこか。また、酵素を各pH溶液に30℃で2時間、置いてから至適pHに戻した場合、酵素活性が残っているか(残存活性)を調べる実験をしていました。使う試験管は班で56本。14班編成なので、えーと….784本!?実験も器具洗いも大忙しな1日が始まりました。

試験管に基質液を入れて30℃で5分間インキュベートします。その後、酵素液を入れて30℃で10分間反応し、アルカリを含む停止液を1ml加え、すぐに攪拌(かくはん)。この操作を56本の試験管で行うのですから、1本ずつ15分間はかけていられません。1本1本、秒単位で管理を行い、数秒ごとに時間差をつけて、この操作を繰り返します。そのため、とてもチームワーク力が試される実習です。

 

〈テンポよく56本の試験管の酵素反応をおこなう〉

 

ONPGの分解で生じたo-ニトロフェノールはアルカリ下で黄色になるため420nmの吸光値を測定し、吸光値から酵素活性を計算します。

 

〈o-ニトロフェノールは黄色で420nmに吸光する〉

 

〈分光光度計でo-ニトロフェノールの吸光値を測定〉

〈β-ガラクトシダーゼのpHにおける酵素活性(%)と残存活性(%)のグラフ〉

 

横軸にpH、縦軸に活性をプロットし、活性pH曲線を作成します。実験が好きなだけでは、仕事はありません。実験結果を報告書でまとめる力をつけるところまでバイオ科でしっかり学んでいきます。

 

来週のブログもお楽しみに★

 

◆本日のバイテク用語 №23◆

分光光度計:ブログ〔002〕のバイテク用語№1でも説明しましたが、今回はより詳しく。分光光度計は、可視光、紫外線のうち一定の波長の光をサンプルへ照射し、入射光と透過光の差から、溶液中の物質(溶質)の吸光度をだすことができる分析機器です。また、物質の吸収スペクトルから構造を調べることもできます。今回の実験では、目的の物質(o-ニトロフェノール)に試薬を加えて発色させランバートベールの法則を用いて、目的物質の濃度を算出しました。バイオ科には、分光光度計が全部で24台あり、酵素学実習の他、化学分析実習、微生物実習、遺伝子工学実習で物質や細胞の濃度を測定するのに使用します。

 

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文責: 宮ノ下いずる  

 

 

 

 

 

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