ノーベル化学賞2020 ゲノム編集
絵の引用元:https://www.nobelprize.org/
今年のノーベル化学賞は、ゲノム編集の画期的な手法(CRSPR/Cas9)を開発された
ジェニファー・ダウドナ先生(米国UB Berkery:右の人物)とエマニュエル・シャルパンティエ先生(Max Planck Institute:左の人物)に輝きました。バイオテクノロジー・生命科学にとって、本当に素晴らしいことです。
実は、CRISPR配列と命名されたDNA配列を発見された日本の石野良純先生のお名前も上るかと期待しておりました。
ゲノム編集技術は、ゲノムDNAの正確な位置に変異を入れたり、遺伝子を正確に導入できる技術。作物の品種改良、薬の開発、病気の治療法などの研究に使われ、実用化されているものもあります。米国では新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の簡便な検査薬にも応用されています*。
本校後援会団体の特定非営利活動法人くらしとバイオプラザ21と共同で行っているTTCバイオカフェでもゲノム編集のトピックを何度か取り上げてきました。
・「カレーライスと食のサイエンス」(小泉望先生)2019年5月10日
・「ゲノム編集で「金の卵」を産むニワトリを作る」(大石勲先生)
2019年2月22日
・「ジャーナリズムにおける食のリスクコミュニケーション~遺伝子組換え食品からゲノム編集まで」(平沢裕子先生)2018年5月25日
くらしとバイオプラザ21では、ゲノム編集による作物の品種改良についてのサイト
「新しい育種NBT」 や
ゲノム編集を簡単に理解するためのウェッブ教材も提供しています。 「新しい作物をつくろう」
これからも「ゲノム編集」技術から目が離せません。
*DETECTRというダウドナ先生等が開発した方法。40-50分で新型コロナウイルス遺伝子の有無を検出。試験紙にバンドとして結果を見ることができる(ストリップテスト)。下記に写真が載っている。
Broughton JP et al. ”CRISPR-Cas12-based detection of SARS-CoV-2” Nat Biotechnol
. 2020 Jul;38(7):870-874. doi: 10.1038/s41587-020-0513-4. Epub 2020 Apr 16.
方法原理と開発:Chen JS et al. “CRISPR-Cas12a target binding unleashes indiscriminate single-stranded DNase activity” Science. 2018 Apr 27; 360(6387): 436–439.
文責:大藤道衛