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2014.02.11 バイオテクノロジー科

2月7日(金)第12回TTCバイオカフェ(絹糸だけじゃない!医療にも役立つ“お蚕さま”~カイコってどんな昆虫?~)開催

2月7日(金)夕方、第12回TTCバイオカフェを開催しました。
テーマ: 絹糸だけじゃない!医療にも役立つ“お蚕さま”~カイコってどんな昆虫?~
演 者: 瀬筒秀樹先生(独立行政法人農業生物資源研究所 遺伝子組換え研究センター 遺伝子組換えカイコ研究開発ユニット ユニット長、農学博士)

主催: NPO法人くらしとバイオプラザ21
共催: 独立行政法人農業生物資源研究所 科学コミュニケーション活動は、ここをクリック。
専門学校東京テクニカルカレッジ

今回のご講演の要旨ならびに瀬筒先生のご紹介は、ここをクリック。

夕方6時、NPO法人くらしとバイオプラザ21の佐々義子常任理事(生物科学博士)による開会のことばで会は始まりました。
三上孝明校長のウェルカムスピーチに続いて、農業生物資源研究所の笹川由紀広報官(生物科学博士)の司会進行ですすめられました。

今回は、先生のご講演ばかりでなく、生きたカイコや蛍光を発する絹糸の展示、さらには笹川広報官のご指導により、遺伝子組換え技術で作られた繭(絹糸)を用いたフロアの皆さんが手を動かす実験も行われました。

 


熱意あるれる瀬筒先生のご講演 工夫を凝らしたスライドやカイコの卵に遺伝子を導入する実写ムービーなどを用いて、分かりやすく解説してくださいました。

瀬筒先生の話は、「カイコとはどんな虫か?」から始まりました。今から5千年以上前の中国で「クワコ」という野生の虫をもとに改良し絹糸がとれる今のカイコに至ったそうです。「カイコは飛べない虫で人工飼育に適しています。」、「絹糸は衣類の繊維ばかりでなく人工血管の素材としても使われています。」、「遺伝子組換えカイコにより蛍光を発する絹糸、さらには医薬品原料や新しい素材の研究も進んでいます。」、「カイコの遺伝子組換えは、農業生物資源研究所が世界に先駆けて2000年に開発した技術です。」など、先生は、カイコの歴史から最新の研究成果まで幅広い内容をお話しくださいました。
具体的な講演内容ならびに質疑応答の詳細は、後日NPO法人くらしとバイオプラザ21のバイオカフェサイトに「レポート」として掲載されます。


主役のカイコ
生きている本物のカイコです。(遺伝子組換えカイコではありません。)


遺伝子組換え技術により蛍光タンパク質を作らせた「光る絹糸」 (360nm付近の紫外線で光っている様子。左はサンゴ由来の赤色タンパク質、右はクラゲ由来の緑色タンパク質(GFP)が含まれています。)

今回、前日(2月6日)に農業生物資源研究所の遺伝子組換えカイコの研究が「遺伝子組換えカイコ、農水省が試験飼育を承認」としてニュース報道されたことから、多くの方々の参加があり満席状態でした。(日本経済新聞の2月6日の報道
これまでも管理された施設内での遺伝子組換えカイコを用いた検査診断薬や化粧品のタンパク質原料生産が、実用化されいます。しかし、蛍光シルクや良質なシルクなどを生産する遺伝子組換えカイコを屋外で飼育できれば、農家さんでの量産も可能になります。農林水産省による試験飼育承認は、このような養蚕業の新たな道に繋がる一歩と思われます。

続いて、GFPを含む繭の実験です。絹糸の芯の部分はフィブロインという繊維タンパク質、芯の周りはセリシンという水に溶けるタンパク質が含まれています。遺伝子組換え技術により、このフィブロインやセリシン部分にGFPを含む繭が用意されました。
笹川先生からの説明にしたがって、フロアのテーブルごとに実験は始まりました。最初は、pHが中性の緩衝液が入った小さな試験管(チューブ)に刻んだ繭を加えて紫外線を当てます。


左側は、GFPがセリシンに含まれています。右側は、フィブロインに含まれています。

続いて、刻んだ繭をピンセットで取り出すと、セリシン側のGFPがよく溶けだしていることがわかります(下の写真:左側)。

セリシン側のGFPの代わりに(抗体など)タンパク質の医薬品原料を作らせることにより、カイコをもちいた医薬品原料の生産が効率よくできるそうです。
光る実験から、実感がわいてきます。


TTCバイオカフェは、演者とフロアが一体になって話し合える雰囲気が大事です。最後に質疑応答や話し合いを行いました。 フロアからの質問に瀬筒先生は丁寧に答えてくださいました。


佐々義子常任理事の開会のことばとTTCバイオカフェの説明


三上孝明校長によるウェルカムスピーチ


笹川由紀広報官による瀬筒先生の紹介と概要説明


笹川先生による実験の説明。 蛍光観察のため会場の照明を落としました。


農業生物資源研究所の冊子「カイコってすごい虫!」が、参加の皆さんに配られました。
ここをクリックすると、冊子にリンクしています。


TTCバイオカフェ恒例となりました佐々先生手作りによる美味しいパウインドケーキ

フロアの皆さまが参加できる実験で、演者と参加者が近くなったように思われます。
次回のTTCバイオカフェは、5月を予定しています。
日程、テーマが決まりましたら、このブログにアップいたします。

これまでのTTCバイオカフェは下記をご覧ください
第1回2009年11月27日
「チョコレートの秘密〜ポリフェノールの科学」(梶睦先生 明治製菓)案内レポート
第2回2010年9月17日
「グリーンイノベーション」(田部井豊先生 独立行政法人 農業生物資源研究所)案内レポート
第3回2010年11月26日
「健康予測からご先祖のことまでわかる遺伝子診断」(田村智英子先生 木場公園クリニック)案内、 レポート
第4回2011年9月16日
「ゲノムの話〜どうしてガンはできるのか」(大藤道衛 東京テクニカルカレッジ・バイオ科)案内、 レポート
第5回2011年10月25日
「植物のストレス応答~私が植物から学んだこと」(佐々義子先生 NPO法人くらしとバイオプラザ21)案内レポート
第6回2012年2月3日
「意外としたたかな植物 ~植物のストレス応答のしくみ解明と応用への試み~」(光原一朗先生 独立行政法人 農業生物資源研究所 植物・微生物間相互作用研究ユニット )案内レポート
第7回2012年5月18日
「植物と微生物における共生の進化 ~根粒を環境に優しい農業に役立てるには?~」(林誠先生 独立行政法人 農業生物資源研究所 植物共生機構研究ユニット長) 案内当日の様子レポート
第8回2012年11月30日
「保存料をめぐるいろいろな誤解と実際」(荒井祥先生 上野製薬株式会社)案内当日の様子レポート
第9回2013年2月1日「ブタとゲノムのおいしい関係~ゲノム情報を使ったブタの品種改良~」(美川 智先生 独立行政法人農業生物資源研究所) 案内当日の様子レポート
第10回2013年5月24日「感染する?しない?植物とウイルスのミクロな駆け引き」(石橋和大先生 農業生物資源研究所) 案内当日の様子レポート
第11回2013年11月30日
「甘いだけではない糖(鎖)〜糖鎖は病気を見つけるサインとなるのか~」(立田 由里子先生(独立行政法人 理化学研究所 システム糖鎖生物学グループ 疾患糖鎖研究チーム) 案内当日の様子、レポート

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