プレ卒研って何だろう? (1年 バイオテクノロジー科 バイオ化学実験3)〔072〕
最終学期の5期も半分が過ぎました。COVIDー19の急激な感染拡大が続いていますが、東京テクニカルカレッジ バイオテクノロジー科(バイオ科)は感染防止対策を徹底し、現在(2022年2月)も対面で実験を続けています。2年生は卒業研究(卒研)の最後の追い込みです。学生は、卒研を通して技術者になるために必要な技術力、思考力そして問題解決力を鍛えていきます。実は、バイオ科では1年生も、2年生の卒研と並行してプレ卒研を行います。今日は、プレ卒研についてご紹介します。
1年生は、これまで3-4期でバイオ化学実験を60コマ行い、たくさんの分析技術を学んできました。その集大成として、5期(30コマ)では、2人1組で班を組み、自分たちでテーマを決めて目的物質の抽出、精製を行います。3月上旬には、その実験成果をまとめ、発表します。この一連の実験をバイオ科では‘プレ卒研’と呼んでいます。
まず、1年生がバイオ化学実験でどのような化学分析技術を学んできたのかご紹介しましょう。
夾雑物(きょうざつぶつ)の除去には、高速遠心分離、塩析、ろ過を学びました。物質の濃縮には凍結乾燥や減圧濃縮。物質の分離、抽出はクロマトグラフィー(クロマト)です。これまでゲルろ過クロマト、疎水クロマト、薄層クロマトを学んできました。分離したタンパク質の定量は分光光度計を使って紫外吸収法やLowry(ローリー)法※を、タンパク質の分子量の確認はポリアクリルアミドゲル電気泳動で行いました。これらの分析技術を組み合わせて目的の物質の抽出および精製を目指してします。
実験の流れをフローチャートに書き、指導教官の松井先生のチェックを受け、GOサインをもらったらいよいよ実験開始です。
実習室にお邪魔すると、ダイコンをおろしている班がありました。何を検出するのかな?「ダイコンからアミラーゼを分離、精製する予定です。」と学生。
彼らが計画した実験の流れはこんな感じです。
まず、検出に必要な試薬調製から始めます。それから本実験をスタート。すりおろしたダイコンを、イオン交換水に懸濁した後、高速遠心分離で残渣を除去し、凍結乾燥で濃縮します。濃縮液をゲルろ過クロマトグラフィーにかけタンパク質を分子量の大きさごとに分離します。そして、アミラーゼの酵素活性を確認したら、ローリー法でタンパク質を定量し、ポリアクリルアミドゲル電気泳動でアミラーゼのタンパク質のバンドを確認するようです。
順調にいけば、2~3週間後には電気泳動でアミラーゼの分子量を示すバンドが検出できるでしょう。また、経過をお伝えしていきます。
他にも、
・ダイコンやジャガイモからカタラーゼやプロテアーゼの抽出・精製
・卵白からリゾチームの抽出・精製
・ムラサキカタバミから光合成色素の抽出・精製
・キウイフルーツからアクチニジンの抽出・精製
・バナナからトリプトファンの抽出・精製
・パイナップルからのブロメラインの抽出・精製
・コウジカビからアミラーゼやグルコースオキシダーゼの抽出・精製
など、面白そうなテーマがたくさんあります。プレ卒研の進捗状況は、Twitterでもお伝えしていきます。
どうぞお楽しみに★
※ゲルろ過クロマトの詳細はこちら 2021『カラム』から手作り!ゲルろ過クロマトグラフィー
◆本日のバイテク用語№30◆
Lowry(ローリー)法: タンパク質の定量法の1つです。タンパク質溶液にアルカリ試薬とCu2+を添加すると青色になりますが、これをBiuret(ビュレット)法といいます。さらにフェノール試薬を加えることで、タンパク質中のチロシン、トリプトファンおよびシステインが化学反応をおこし感度があがります。これをLowry法といいます。呈色はタンパク質の濃度に比例するので750nmの吸光値から濃度を測定することができます。
◆半日体験入学のご案内◆
「光る大腸菌とは?DNA実験に挑戦!」
遺伝子工学のスペシャリストから遺伝子組換えやゲノム編集技術を学べます。DNAの抽出実験にもチャレンジできます。
日時:2022年2月6日(日)
午前 10:00~12:30
午後 14:00〜16:30
担当講師: 大藤
講師紹介はこちら
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(実験を担当する講師全員2回のワクチン接種を終えています。)
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文責 宮ノ下いずる