環境計量士とは
環境計量士とは、国家資格「環境計量士」を取得して、環境の測定や分析、調査する仕事を専門に行う人のことです。
国家資格は「濃度関係」と「騒音・振動関係」という2種類に分かれています。
濃度関係は、工場などから出るガスや排水、有害物質などの濃度を測定します。
騒音・振動関係では、主に交通機関や工場などで騒音や振動を測定します。
主な活躍の場は、全国にある環境分析センターや、民間の環境調査会社、環境コンサルティング会社などです。
環境保全に対する規制基準は今後も年々強化されていくと考えられ、環境測定のスペシャリストである環境測定士は、ますます重要な役割を担っていくでしょう。
環境計量士の仕事内容
環境計量士は計量法に基づき、環境の測定や分析、調査する仕事です。
調査する対象は主に「濃度」と「騒音・振動」の2分野に分かれており、各資格の保有者が、業務を担当します。
SDGsをはじめとして環境問題への関心が世界中で高まるなかで、自然環境や私たちの生活を守る社会的意義の高い仕事です。
環境計量士の主な業務内容
(1)濃度関係の測定
大気や水質、土壌などの測定を行います。
工場などから出るガスや有害物質、家庭から出る排水の汚染物質などの濃度を測定します。
そのほか、事故や災害などによる土壌や河川の汚染状況の調査も行います。
(2)騒音・振動関係の測定
騒音や振動に関する計量を行います。
工場や工事、鉄道や飛行機による騒音や振動などの調査を行い、その結果によっては周囲や人体にどのような影響があるかも調べます。
(3)計量証明書の作成
測定した数値を証明する「計量証明書」の作成をします。
これは結果を公的に証明することができる書類で、環境計量士の国家資格がある人のみが作成できます。
(4)計測・測定機器のメンテナンス
仕事に使う機器のチェックやメンテナンスも重要な仕事です。
機器に不具合があれば正しい測定ができない場合もあるため、定期的に確認します。
環境計量士の勤務先
環境計量士の勤務先は、全国にある環境分析センターや、民間の環境調査会社、環境コンサルティング会社などです。
近年、製造業やインフラ関連などの大手企業では、自社に測定の部署や子会社を備えているところもあります。
環境計量士になるには
環境計量士になるには、まず国家資格「環境計量士」を取得することからはじまります。
「濃度関係」と「騒音・振動関係」の2種類の資格があり、いずれの場合も取得には以下のどちらかを選択します。
(1)国家試験に合格して登録する方法
計量士国家試験を受験して合格するだけでは、環境計量士になることはできません。
「濃度関係」と「騒音・振動関係」どちらの場合も、1年以上専門の仕事として従事していることが必要です。
(2)研修を受けて登録する方法
「国立研究開発法人 産業技術総合研究所」の教習を終了します。
こちらも「濃度関係」と「騒音・振動関係」どちらの場合も、2年以上専門の仕事として従事し、計量行政審議会に認められなくては登録することができません。
環境計量士資格の難易度
受験に学歴や年齢の制限はないため、学生からでも環境計量士試験にチャレンジすることは可能です。
ただし、環境計量士として登録するには必ず実務経験を積む必要があるため、新卒の場合は、環境分析センターや、民間の環境調査会社、環境コンサルティング会社に就職した後に、国家資格取得を目指すのが一般的です。
合格率は例年15%前後を推移しており、決してやさしい試験ではありません。
環境計量士関連の資格
関連する資格には「公害防止管理者」「臭気判定士」「作業環境測定士」などがあり、難易度が低いことから、まずはこれらを取得しながら環境計量士資格取得を目指す人もいます。
合格には化学や物理、環境に関する知識が必要になるため、こうした分野を大学や専門学校で学んでおくとよいでしょう。