実習紹介:応用バイオ化学実験 遺伝子発現実験3(3/3)
GFP遺伝子が発現している大腸菌を液体培養しGFP(タンパク質)を精製します。
導入されたGFP遺伝子の情報により作られた発現タンパク質(GFP)をカラムクロマトグラフィーで精製し、ポリアクリルアミドゲル電気泳動で分析します。遺伝子が導入できたかどうか?タンパク質が精製できたかどうか?は、緑色の蛍光で確認できるため、精製実験の途中経過がわかります。




GFP(タンパク質)を高塩濃度(2M硫安)に溶解し疎水クロマトグラフィー (Hydrophobic Interaction Chromatography(HIC))カラムに吸着させます。GFPは親水性でタンパク質表面には、親水性のアミノ酸が多くあります。高塩濃度の溶液に溶かすと疎水性アミノ酸が少し表面に露出してHICカラムと吸着します。しかし、GFPは完全に変性はしていませんので、長波長(365 nm)の励起光により蛍光を発します。このため、蛍光を観察しながらカラムクロマトグラフィーでGFPの精製ができます。(★長波長ですが観察では、ゴーグル着用)
最後に低塩濃度のTE緩衝液でGFPを溶出させるので、そのまま電気泳動で解析できます。電気泳動は1年生の生化学実験で行ったポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDSを用いない非変性PolyAcrylamide Gel Electrophoresis (PAGE))です。
GFPは変性していないので、PAGE後も紫外線でバンドを観察できます。
このようにして、導入されたGFP遺伝子が大腸菌の菌体(細胞)内から抽出され(遺伝子発現実験2)、そのタンパク質が電気泳動で確認できました。長波長(365 nm)の光で励起させると蛍光が見えます(★長波長ですが観察では、ゴーグル着用)。このうように誘導物質により導入した遺伝子産物であるタンパク質(ここではGFP)を効率よく生産できることを体感しました。
【まとめ】この実験では、遺伝子組換え実験で遺伝子を導入し、誘導物質の添加(細胞内の分子レベルの環境変化)により遺伝子発現が起こることを体感しました。大腸菌に限らずヒトの細胞を含めてすべての生物の細胞で、行われている遺伝子発現も同じように調節されていることは、1年次に分子細胞生物学や遺伝子工学技術など他の科目でも学んでいます(カリキュラムの科目詳細)。また遺伝子組換え生物(ここでは大腸菌)に誘導物質を加えることで目的タンパク質を生産させることもバイオテクノロジーの一つです。
この実習は、1年生で行った微生物学実験でのバクテリア培養や生化学実験で行った電気泳動やカラムクロマトグラフィーの応用実験となります。学生のみなさんは、1年次の実験ノートや資料を参考にしながら実験にのぞみました。
【使用した試薬機器】
疎水クロマトグラフィー(HIC)カラム: Bio-Rad Laboratories
ポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)装置: ATTO株式会社
ハンディ型長波長(365 nm)UVランプ: フナコシ株式会社
文責:大藤道衛(非常勤講師)