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学科ブログ

2026.08.10 バイオテクノロジー科

実習紹介:応用バイオ化学実験 遺伝子発現実験1(1/3)

  バイオテクノロジー科2年生は、大腸菌をもちいた実験で遺伝子発現について学びました。遺伝子発現とは、遺伝子(DNA)が持つ4つの塩基配列に刻まれたタンパク質のアミノ酸配列の情報からタンパク質を作り出す仕組みのことです。遺伝子は、誘導物質を加えることで発現させます。これは、遺伝子のスイッチをONにすることです。誘導物質が加えてないとき、遺伝子スイッチはOFFです。

大腸菌(K12株)に酵素(乳糖分解酵素)の遺伝子や緑色蛍光を発するタンパク質 (Green Fluorescent Protein (GFP))の遺伝子を遺伝子組換え実験(注1、2)にて大腸菌に導入しました。実験では、各遺伝子がベクターDNAに挿入された「組換えDNA分子」(市販品)を用いて行いました。制限酵素や連結酵素をもちて「組換えDNA分子」を調製する実験は核酸化学実験であり遺伝子組換え実験ではありません。「組換えDNA分子」大腸菌に導入し形質転換(新たなタンパク質(酵素やGFP)を持ち性質が変わること)するところが遺伝子組換え実験です(閉鎖系での実験)。

試薬調製などは実験室を開放系として行います。大腸菌培養に用いる培地は自分で調製します。使用する培地はオートクレーブ滅菌(高圧蒸気滅菌)してもちいます。

コンピテント細胞(プラスミドを取りこみやすい大腸菌)を用い遺伝子組換え実験にて酵素の遺伝子を導入します。生じた大腸菌(形質転換大腸菌)のコロニーに遺伝子の誘導物質と酵素の基質を加えると添加した部分だけ、遺伝子が発現してコロニーが青くなっています。コロニーとは大腸菌の集落で、目視できる1個の丸いコロニーに大腸菌が100万以上含まれてます。

GFP遺伝子を導入した形質転換大腸菌のコロニーも誘導物質が存在するとGFP遺伝子が発現し、紫外線(長波長:365nm)照射で生成されたGFPタンパク質が緑色の蛍光を発します。

導入された外来遺伝子が誘導物質による発現し、酵素やGFPなどのタンパク質が生成されたことが、発色や蛍光で遺伝子発現が確かめられました。

★遺伝子組換え実験で使用したバクテリア、試薬、プラスティックチューブ、プレートは、オートクレーブ滅菌の後、医療廃棄物もしくは産業廃棄物として処理します。

注1:遺伝子組換え実験は、組換え体の封じ込めを規定したカルタヘナ法(遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律)の下で実験を行います。ここでは、教育機関の実験施設で行える文部科学省の「教育目的遺伝子組換え実験」の届け出実験として行いました。遺伝子組換え実験は実験室の扉を閉めて空調を切りP1レベルの閉鎖系として、培地調製・試薬調製、電気泳動などの実験や講義は、空調を入れた開放系と区別して行います。

注2:講義と実験を組み合わせて、管理区域にて実験を行いました。教材は授業シート・カルテ*を中心に、オリジナル実験テキスト、市販書籍**を用いました。

*TTC小山式教育システムビデオ

**大藤道衛「バイオ実験超基本Q&A改訂版」(羊土社: 2010)

**大藤道衛「バイオ研究のためのラボワーク入門」(講談社: 2010)

【まとめ】誘導物質を加えることで、遺伝子組換え技術を用いて導入した遺伝子のスイッチをONになりました。誘導物質が加えてないとき、遺伝子スイッチはOFFです。この実習を通じて遺伝子組換え技術と生物体内で起こっている遺伝子発現の調節について学びました。遺伝子発現を調節して遺伝子組換え生物(ここでは大腸菌)でタンパク質を生産することができます。

【用いた組換えDNA分子の文献】

★酵素(乳糖分解酵素)の遺伝子を含む組換えDNA分子(pUC19):
Yanisch-Perron C., Vieira J., Messing J. “Improved M13 phage cloning vectors and host strains: nucleotide sequences of the M13mpl8 and pUC19 vectors” Gene. 33(1),103-119 (1985) (要旨はここをクリック)
★GFPの遺伝子を含む組換えDNA分子(pBAD-GFPUV (pGLO))
Crameri,A., Whitehorn,E.A., Tate,E. and Stemmer,W.P.”Improved green fluorescent protein by molecular evolution using DNA shuffling” Nat.Biotechnol.14 (3),315-319 (1996)(要旨はここをクリック)
本実習ではどちらも市販品を用いています。

【用いた主な試薬・機器】

コンピテント細胞(HB101,JM109)、pUC19プラスミド: タカラバイオ株式会社

pGLOプラスミド: Bio-Rad Explorer(教育用試薬)  Bio-Rad Laboratories

培地用試薬(Bacto™ Tryptone他): ThermoFisher Scientific

ハンディ型長波長(365 nm)UVランプ: フナコシ株式会社

簡易型LED紫外線照射: 一般市販品

 

遺伝子発現実験2につづく

文責:大藤道衛(非常勤講師

 

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