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2024.01.26 バイオテクノロジー科

目指せ2m!のびるチーズをつくりたい RJP活動報告 №5

東京テクニカルカレッジ(TTC)にはRJPというユニークな授業があります。RJPは、Real Job Project(リアルジョブプロジェクト)の頭文字で、学生が主体となり企画、予算計画、実行、振り返り、改善などのプロセスを経験から学ぶTTC独自のプログラムです。バイオテクノロジー科では、実験で身につけた仮説検証のノウハウを活かして、モノづくりや理科実験、花壇整備などを行いバイオテクノロジーの魅力を発信しています。この活動を通して、チームで考え、問題を解決する力を養うのが狙いです。

今年のバイオ科は1,2年生混合の6班編成で、毎週金曜日の午後(6~12月)にRJPの活動をしています。今回のブログでは、モッツァレラチーズづくりにチャレンジした食品班の取り組みをご紹介します。

食べることが大好きな食いしん坊4人が集まったチーズ班。チーズには、カマンベール、チェダー、ゴルゴンゾーラ、カッテージと個性豊かな種類がたくさんありますが、今回は「のびるチーズ」づくりにチャレンジしました。

「以前、あるテレビ番組でチーズのびのび選手権というのをやっていました。番組では、モッツァレラチーズが2m74㎝のび、2位のラクレットの90㎝を大きく引き離しダントツの1位でした。もし、増粘剤を工夫すれば、もっとのばせるではないかと考え、今年のRJPでは超絶のびるモッツァレラチーズの開発を目指すことにしました。」とリーダーのMさん。

検証1. モッツァレラチーズに使う牛乳の検討

チーズづくりは班員全員はじめてです。まずは、チーズづくりの原理を簡単におさらいします。準備するものは牛乳と酢です。牛乳にはカゼインとよばれる乳タンパク質が含まれています。牛乳に酢などの酸を入れ、pHを下げていくと凝固して沈殿してきます。凝固したものがカード、上清をホエイといいます。ホエイを取り除き、カードを成型したのがフレッシュチーズです。

では、チーズがのびるのはなぜでしょう。乳の中でカゼインの集合体がリン酸カルシウムと結合しネットワークという網目状の繋がりを形成します。この網の中に、脂肪球が分散して存在してます。

このネットワークをゆるめると、チーズが力を加えた方向にのびるようになります。
詳しい説明は割愛しますが、のびるチーズをつくるには、カゼインネットワークをゆるめる最適な温度やpHを調整することが鍵になります。

さっそく、食品班のモッツァレラチーズづくりを紹介していきましょう。ネットで公開しているレシピを調べると、モッツァレラチーズは、通常ノンホモ(ホモジナイズしていない脂肪粒の大きい)牛乳を使ってつくることがわかりました。ノンホモ牛乳以外ではモッツァレラチーズはつくれないのかを検証するため、ノンホモ牛乳、牛乳(高温殺菌)、牛乳(低温殺菌)、無脂肪牛乳を使ってチーズをつくってみることにしました。今回は牛乳に添加する酸として酢を使いました(直酸法)。pHを下げると牛乳のタンパク質であるカゼインが凝固しチーズになります(凝乳)。レシピは以下の通りです。

実験の結果、このレシピではノンホモ牛乳でつくったチーズだけが16㎝のびました。モッツァレラチーズはできましたが、ノンホモ牛乳は1000mLあたり約400円とやや高めです。普通の牛乳でつくることができれば予算の中でいろいろ検証できるのになぁ...さらにネットで検索すると、牛乳(低温殺菌)でも火加減を調整すればモッツァレラチーズをつくれることがわかりました。早速、以下のレシピで再チャレンジです。

牛乳47℃で温めることで牛乳1000mLから約150gのチーズができました。ノンホモ牛乳の半分の値段でチーズづくりができるのは経済的です。ただ、できたチーズはまとまり感はあるものの、ノンホモ牛乳のチーズと比べるとほとんどのびません。増粘剤などの添加物を加えるとのびるか検証することにしました。

検証2. めちゃのびるチーズづくりを目指し添加材を検討する

低温殺菌乳で作ったモッツァレラチーズはまとまりはあるものの、ほとんどのびません。そこで、チーズをのばすために添加材を加えることにしました。候補としてあげた添加材はスキムミルク、もち、片栗粉、水飴です。牛乳に添加材を加えて温めてから酸を加えて凝固させます。まず、スキムミルク、もち、片栗粉を3%、5%、10%になるように加えました。酸で凝固させて湯煎でこねてチーズを成型して20g計り、平面上に横にのばして伸び率を測定すると…

片栗粉を入れたものは、すべての濃度でチーズとしてまとまりませんでした。もちを3%加えたチーズは82㎝ものびました。すごいぞ、もち!

ところが、「チーズともちが分離している。チーズがのびたのではなく、もちがのびただけではないか」と指摘をうけ、のびるチーズとして認められないことになりました。水飴1%、2%、3%を加えたチーズもつくりましたが、まったくのびません。今回の添加材でモッツァレラチーズをのばすのはなかなか難しいことがわかりました。

検証3. 凝固させる酸の種類を検討する

これまで、牛乳に酢を加えてカゼインを凝固していましたが、できあがったチーズは酸のにおいがきついので、酢に変わる酸を検討することにしました。使用したのは、クエン酸、レモン汁、クエン酸+レンネット(凝乳酵素)です。また、まとまりもよくモッツァレラチーズらしいチーズを作製するため、牛乳を温める温度も見直しました。

結果は、酢ではなくクエン酸にして凝固させた方が、においがマイルドなチーズになりました。さらに、クエン酸だけでなくレンネットも加えるとモッツァレラらしい表面が滑らかなチーズができることがわかりました。試食してみるとまさしくモッツァレラチーズ!上々の出来栄えでした。

検証4. キサンタンガムを使い、さらにのびるチーズを目指す

検証2の添加材ではスキムミルク以外チーズをのばすことはできませんでした。そこで、増粘安定剤としてよく使われているキサンタンガムを用いて再チャレンジすることにしました。0.1%キサンタンガム液をチーズに加えるのですが、入れるタイミングが重要なようです。今回は、牛乳を温めるときに一緒に添加する方法(先入れ)と、練りこむときに加える(後入れ)方法の2つで検討しました。

キサンタンガムは後入れの方がチーズがのびることがわかりました。また、0.1%キサンタンガムの添加量ですが、5cc、10cc、15ccで検討したところ、5cc加えたチーズが一番のびました。68cmは今回のチーズづくりで最高記録です!

活動5. のびるチーズの試食

これまでの実験の結果から、牛乳はノンホモでなく低温殺菌牛乳でモッツァレラチーズをつくることができること、酸はクエン酸を使い、さらにレンネットを使うことでにおいが滑らかで表面がつるつるしたチーズに仕上がりました。また、増粘剤として0.1%キサンタンガム溶液をチーズを練りこむタイミングで5cc加えることで、チーズをよくのばせることがわかりました。

RJP最後の活動日は、こうした実験結果をもとに、チーズをつくり試食会を実施しました。クラッカーにモッツァレラチーズとアクアポニックス班が育てたバジルからつくったバジルソースをのせて170℃のオーブンへ。数分後には、こんがりいい匂いが実験室に広がりました。

あつあつのびのびのチーズはみんなに大好評。「今回の最高伸び率は68㎝でしたが、機会があれば2m超えをねらいたいです。また、今回は牛乳に酢、レモン汁、クエン酸を使ってpHを低くしましたが、温度管理が難しいとされる乳酸菌を使った凝乳にもチャレンジしてみたいです。」と来年へのリベンジを語るMさん。2m超えの「のびるチーズ」の完成が今から楽しみです。

次回(2月23日金曜日)は、アクアポニックス作りに取り組んでいる班の活動を紹介します。

来月のRJPブログも、どうぞお楽しみに★

◆2023年度 RJP活動報告 バックナンバー◆

9月号№1 オリジナルアロマキャンドルをつくる!

10月号№2 実験で検証!オリジナルコンブチャをつくる 

11月号№3 植物を最大限に活用! 育てた花で草木染め

12月号№4 自分で育てたユーグレナ(ミドリムシ)入りマシュマロをつくりたい!

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文責: 宮ノ下いずる【142】

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