第15回「遺伝子検査活用セミナー」オンライン開催(バイオテクノロジー科)
第15回「遺伝子検査活用セミナー」は、12月19日(木)に本学5階の教室を会場として開催されました。
今回はパンデミック以前の会場開催に戻り、登壇者・受講者ならびにスタッフが会場に集まりました。2019年以来5年ぶりの会場開催となりました。
専門学校 東京テクニカルカレッジ・東中野校舎エントランス
クリスマス直前の日程であり、TTC東中野校舎入口には、インテリア科学生制作のクリスマスツリーが飾られ、クリスマスムードの中で、セミナーは行われました。
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【セミナー概要】
遺伝子解析技術の進歩に伴い、様々な遺伝子関連技術が社会へ浸透しています。本年は、シングルセル解析による微生物パワーの紐解き、歯周病感染と遺伝子検査、ゲノムリテラシーの普及と遺伝子検査を取り巻く環境、ヒトゲノム情報の活用と理解などをテーマに多彩な講師の先生方をお招きしたリアルセミナーをして開催いたしました。
日時:2024年12月19日(木)18:00-20:50
協賛:特定非営利活動法人 日本バイオ技術教育学会 (JABE)
セミナーは、午後6時より始まりました。
1)遺伝子検査活用セミナー開会挨拶
田村弘志 (Hiroshi Tamura, Ph.D. )
日本DNAアドバイザー協会会長、LPSコンサルティング事務所代表(博士(学術))
遺伝子関連検査、遺伝学的検査の違いについての解説をいただき、DTC遺伝子検査に対する様々な見解、利用者に提供すべき留意事項について説明がありました。また各国におけるDTC遺伝子検査の規制の現状と日本の方向性についてのご意見をいただきました。このような様々な遺伝子検査の現状を踏まえて日本DNAアドバイザー協会(DAAJ)の活動趣旨、同協会の目指すところを分かりやすくお示しいただきました。
2)シングルセル解析により微生物パワーを紐解く
竹山春子(Haruko Takeyama, Ph.D.)
早稲田大学理工学術院 教授(博士(工学))
バクテリアのシングルセル(1細胞)のゲノム解析・遺伝子発現解析技術を確立し、菌叢集団に存在する各バクテリアさらにはファージ一つ一つの挙動を分析することで相互のインタラクションを解析する研究についてご講義いただきました。さらに具体的なゲノム解析、ラマン分析法によるシングルセルの代謝物解析についてデータを交えてご説明くださいました。得られたビッグデータを解析することで、現在進んでいるバイオDXへの進展についても先生のご研究内容を踏まえて具体的にお話しくださいました。
3)歯周病感染の遺伝子検査とその活用
荒井孝(Takashi Aria, Ph.D.)
株式会社マイクロスカイラボ (博士(医学))
荒井先生(左)、株式会社マイクロスカイラボ 柳沢社長(右)
歯周病の概要、歯周病と関連する疾患、遺伝子検査で用いる検体の採取方法の比較、PCRを用いた検査の現状について解説がありました。荒井先生から、プライマー配列を含めた検出系の説明と詳細な評価について具体的なデータと共に説明いただき、フロアの質問にも丁寧にお答えくださいました。質問に対しては、同社の柳沢英二社長からも補足説明がございました。
4)ゲノムリテラシーの醸成
~DTC遺伝子検査を適切に活用するために~
大藤道衛(Michiei Oto, Ph.D. )
日本DNAアドバイザー協会理事、東京テクニカルカレッジ講師(博士(医学))
基本的な遺伝用語のなかで誤解しやすい用語の解説、DTC遺伝子検査に必要な個人遺伝情報の取扱方法、、米国で行われているゲノムリテラシー醸成教育について説明がありました。さらに、海外での遺伝リテラシーの達成評価指標を踏まえてDTC遺伝子検査活用に向けた今後のゲノムリテラシー教育の方向性が示されました。
5)資格認定と運用、遺伝子検査を取り巻く環境のなかで
川口竜二(Ryuji Kawaguchi, Ph.D.)
日本DNAアドバイザー協会理事・ファウンダー、㈱プロップジーン代表取締役(博士(工学))
遺伝子検査に関連する各種資格の中でのDAAJ認定の「DNAアドバイザー」資格の位置づけと意義について解説がありました。さらに実際に本資格の受検にあたり具体的な出題範囲と内容についての講義、重点的に学ぶべき項目についての説明がありました。一方、新しい分野として2024年のノーベル賞受賞でも話題になりましたマイクロRNAを用いた検査技術の進展やがん遺伝子パネル検査(がんゲノムプロファイリング検査)の最新状況について解説をいただきました。
6)ヒトゲノム情報の活用と理解
村松正明(Masaaki Muramatsu, MD, Ph.D.)
日本DNAアドバイザー協会特別上級顧問、東京医科歯科大学 名誉教授 (博士(医学))
ポリジェニックスコアによる多因子疾患の解析について、その原理から有用性まで最先端のお話をいただくとともに、メディアを通じた遺伝子検査の正しい理解への取組の一端もお見せいただきました。「自分ごと」として捉える遺伝子検査リテラシーを促す活動の重要性を示してくださいました。
さらにDTC遺伝子検査の位置づけ、受検者の心構えなどを踏まえて本セミナーの総括をいただきました。
最後に田村会長から、各講演に対する総評をいただくとともに共催の東京テクニカルカレッジ(TTC)、協賛の日本バイオ技術教育学会(JABE)への感謝の言葉がございました。
セミナーの総評と閉会の挨拶(田村弘志 DAAJ会長)
会場(505教室)とセミナー実施の様子
前半座長(第1-4題):川口竜二(DAAJ理事・ファウンダー)
後半座長(第5-6題):大藤道衛(DAAJ理事)
質疑応答(学生も積極的に質問していました。)
本セミナーはDAAJの「DNAアドバイザー認定講習会」を兼ねて行われております。今後の本セミナー開催については、DAAJのHPならびにTTCの本サイトにて随時公開されます。
長時間に渡りご参加いただきました受講者のみなさま、ありがとうございました。
【本学学生参加】
東京テクニカルカレッジ(TTC)・バイオテクノロジー科学生も会場にて聴講いたしました。
参加した学生からは、「バイオ技術の幅広い応用について学べた。」、「遺伝子検査の管理や個人遺伝情報の扱いなど、普段の授業では聴けない内容で非常に勉強になった。」などの感想がありました。
毎年5-8名のTTCバイオ科学生が参加して,遺伝子検査リテラシーを育んでおります。
本セミナーに参加した学生への教育効果については学会誌に報告しております。
大藤道衛, 松井奈美子「消費者直結型(DTC)遺伝子検査に向けたリテラシーを育む実践教育」バイオテクノロジスト(日本バイオ教育学会誌):29(1),8-12 (2023)
【日本バイオ技術教育学会のご紹介】
ご協賛いただきました日本バイオ技術教育学会は、バイオ技術者認定試験*の実施、バイオ教科書**の出版、 学術総会の実施、学会誌の発行などを通じて、バイオテクノロジーの専門家の養成を行い、さらにはバイオテクノロジーに対する市民からの理解を深める積極的な活動を行っています。
特に2024年からは初級バイオ技術者認定試験を改定し、「バイオリテラシー」評価を含めた内容となりました。学生ばかりでなく実務者やバイオテクノロジーに関心のある社会人への扉を開いております。
*バイオ技術者認定試験は、多くの本学学生/卒業生が受検し認定を受けております。
**学会教科書のいくつかは、本学バイオテクノロジー科の教科書として採用しております。
第14回の様子(2023年12月21日TTC教室にてWEB開催)
第13回の様子(2022年12月22日TTC実験室にてWEB開催)
→専門誌「医療と検査機器・試薬」2023年4月号に特集として掲載されました。→ここをクリック。
第12回の様子(2021年12月16日TTC実験室にてWEB開催)
→専門誌「医療と検査機器・試薬」2022年12月号に特集として掲載されました。→ここをクリック。
第11回の様子(2020年12月17日TTC教室にてWEB開催)
→専門誌「医療と検査機器・試薬」2021年4月号に特集として掲載されました。→ここをクリック。
→専門誌「医療と検査機器・試薬」2020年6月号に特集として掲載されました。→ここをクリック