育てて・学んで・つながるGABAトマト 地域交流サイエンスカフェ
7月22日(火)、東中野区民活動センターにて「サイエンスカフェ」を開催しました。
今回のテーマは、『GABA(ギャバ)トマトってなぁに?』です。
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午後2時30分からの1時間、猛暑の中にもかかわらず、20名を超える地域の方々にお集まりいただきました。
今回のサイエンスカフェには、健康に関心が高く、元気な70~80代の地域の方々が多く参加してくださいました。特に、GABA(γ-アミノ酪酸/ギャバ)は、血圧を下げたり、リラックスを促す働きがあることが知られており、年齢を重ねた方々にとって身近で興味深いテーマとして受け止めていただけたようです。
まずは、東京テクニカレッジの教員、宮ノ下より「農業のバイオテクノロジー」をテーマに講演を行いました。
農業の歴史から始まり、品種改良や遺伝子技術の進展、そして最新のゲノム編集(遺伝子の一部をピンポイントで書き換える最先端の技術)によって誕生した「ハイGABAトマト」へと話は広がりました。
実は、ゲノム編集でつくられたハイGABAトマトは、東中野区民活動センターの畑をお借りして、学生と栽培しています!
講演後には、「普通のミニトマト」と「ハイGABAトマト」の食べ比べを実施。
自分たちで育てているトマトは、収穫量がまだ限られているため、イベント当日の試食用にはサナテックライフサイエンス株式会社様(※)よりご提供いただいたものを使用させていただきました。
参加者の皆さまからは、
・ハイGABAトマトの方が甘くて濃厚
・少し皮が固い
・血圧が気になるのでぜひ購入したい
・値段次第かな…
など、さまざまな率直なご意見をいただきました。
GABA自体には味がありません。本当にハイGABAトマトの方がGABA量が多いのか実験で調べてみました。
トマトをつぶしたしぼり汁を10倍に希釈してGABA濃度を測定したところ、普通のトマトは310mg/Lに対して、ハイGABAトマトは555mg/Lと、約2倍のGABAが含まれていることがわかりました!
その後は、学生たちによるRJPの発表です。
RJP(※Real Job Projectの略称)は、本校独自の実践型授業で、学生自身がテーマを設定し、PDCAサイクルを回しながら活動を行う、主体的な学びのプログラムです。
今回は「発酵食品、特に味噌の魅力を伝えたい!」というチームが登場し、発酵に欠かせない微生物・コウジカビ(Aspergillus oryzae)について、わかりやすく説明をしてくれました。クイズや寸劇を交えた発表に、参加者の皆さんはとても楽しんでいる様子でした(*^^*)
「地域とつながりたい」「子どもたちに発酵の面白さを伝えたい」――そんな思いから、絵本の制作や学童との交流も計画中です。
今回のイベントは、地域の方々にバイオテクノロジーの魅力をお伝えする機会であると同時に、参加した学生たちにとっても大きな学びの場となりました。
発表を担当した学生たちからは、こんな感想が寄せられています。
「地域の方とたくさん交流ができて、とても楽しく、貴重な時間でした!」
「GABAや発酵についての知識がさらに深まり、自信になりました」
「人前での発表は緊張しましたが、先生方の支えがあり、楽しく発表できました」
学生たちが、自ら考え、声を出し、動き、伝える姿に、教員として胸が熱くなりました。
地域に育てられ、地域とつながりながら、少しずつ「社会に貢献する力」を育んでいる――その確かな成長を感じたイベントでした。こうして学生の挑戦を地域があたたかく受け止めてくださることに、感謝の気持ちでいっぱいです。
RJP活動はこれからも続いていきます。
絵本が完成した際には、また地域の子どもたちとつながるイベントが開催できたらと思っています。
最後に、このような機会を企画・運営してくださった東中野区民活動センターの皆さまに、この場を借りて、心より感謝申し上げます。
※ サナテックライフサイエンス株式会社のHPはこちら
今回、ゲノム編集ハイGABAトマトの苗とトマトをご提供いただき、誠にありがとうございました。
文責:宮ノ下いずる
写真:大藤道衛 先生
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