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2024.06.20 バイオテクノロジー科

高校へ出張授業!第2弾 植物バイオテクノロジーを学ぼう

専門学校 東京テクニカルカレッジ バイオテクノロジー科は、実験を通して科学の面白さを高校生に伝える活動をしています。今年度も都内の高校へお邪魔して実験授業をおこなったので、その様子をブログでご紹介いたします。

訪問したのは世田谷にある東京都立 園芸高等学校。明治41年に開設された創立116年を迎える歴史ある高校です。正門を抜けると、新緑の美しいイチョウ並木が迎えてくれました。緑のトンネルの中は少しひんやりしていて、森を散歩しているようです。マイナスイオンを浴びながら校舎へ向かいました。

植物の実験棟は本校舎から少し離れたところにあります。「ちょうどバラが見頃なので、バラ園を通っていきましょう。」高校にバラ園?相馬先生に誘われ、学校の敷地にあるバラ園へ。近づくにつれて、芳醇な香りが漂ってきました。バラのアーチをぬけると…そこには色とりどりのバラが咲き誇る花園が広がっていました。生徒さんは、毎日ここを散歩できるなんて幸せすぎます。

敷地が広く、バラ園の周りにはハウスや畑、花壇が整備されていました。昼休みは、校舎間を移動する生徒さんも大勢います。みなさん笑顔であいさつをしてくれました。素敵な学校だなぁ。訪問5分ですっかり園芸高校のファンになってしまいました。

実験棟に到着。今回は、園芸科3年の植物バイオテクノロジーを選択した生徒10名と一緒に、組織培養の実験を7回にわたっておこないます。内容は以下の通りです。

1)植物バイオテクノロジーについて

2)MS培地作製

3)無菌播種 (レタス、ハツカダイコンの種子の殺菌条件の検討)

4)無菌植物の観察、まとめ

5)植物ホルモン入りMS培地の作製(オーキシン、サイトカイニンの作用)

6)無菌植物の組織培養

7)培養物の観察(カルス、不定芽、不定根)

2~3名で班を編成し、グループで実験をしていきます。まずは、植物を培養する培地づくりです。試薬を天秤ではかったり、溶液を攪拌(かくはん)したり、培地のpHを調製したりと役割分担しながらすすめました。日々、実習をしている生徒さんたちなので、実験がとてもスムーズ。手際がよいだけでなく、みなさん何だか楽しそう。実験が大好きな生徒さんが集まったようです(*^^*)

種子をそのまま培地に撒くと、種子に付着している微生物が培地上で繁殖してしまいます。これをコンタミネーション(略称 コンタミ)といい、植物の培養がうまくいきません。コンタミを防ぐために、種子を殺菌することが重要です。ハツカダイコンとレタスの種子を使い、班ごとに殺菌に使う塩素の濃度や、処理時間を検討することにしました。計画を立てたら、クリーンベンチ内で種子を殺菌し、管ビンの培地へ撒きます。

1週間後、種子が発芽しているか、コンタミはおきていないか観察しました。レタスもハツカダイコンも発芽して子葉が展開してるようです。残念ながらハツカダイコンは数本コンタミしていました。

殺菌試験の結果、レタスの種子は塩素濃度0.1%で十分コンタミを抑えることができました。一方、ハツカダイコンの種子は塩素濃度0.1%では殺菌が不十分ですが、塩素濃度を0.6%まであげると、コンタミがおきないことがわかりました。種子によって最適な殺菌濃度があることは大きな学びでした。

次はいよいよ組織培養です。無菌で育てたハツカダイコンとレタスの葉片を植物ホルモンの入った培地で培養します。実験前に、植物ホルモンのオーキシンやサイトカイニンの種類や作用を学びました。また、微量濃度であるppm(parts per million)の計算法を学び、100ppmの植物ホルモン濃縮溶液を作製しました。

濃度計算はやや苦戦していましたが、コツがわかるとできるようになります。「あ~なるほど。わかった!」と嬉しいそうに話す生徒のAさん。難しいことでも、どんどんチャレンジしよう。

殺菌したメスやピンセットを使って、葉を切って培地に置きます。クリーンベンチ内の操作にも慣れてきました。

現在、植物ホルモンの種類や濃度が異なる8種類の培地で葉片を培養しています。2~3週間もすれば、カルスや不定芽、不定根が形成されてくるでしょう。次回の観察が楽しみです。

園芸高校には3年生が取り組む卒業課題研究があります。課題研究で植物の組織培養にチャレンジしている生徒さんもいると聞いています。今回学んだ、実験計画の立て方、濃度計算、試薬の作り方や無菌操作はきっと役に立ちますので、ぜひ自身の課題研究に活かしてくださいね。応援しています。

今回の出張授業は、園芸高校の相馬先生から、「生徒に専門的な植物バイオテクノロジーの授業を体験させてほしい。」とお声をかけていただいて実現しました。高校生に植物組織培養の実験の進め方や楽しさをお伝えする機会をいただき、本当に感謝しております。また、坂本先生には、毎回の培養実験の準備にご協力いただいております。いつもありがとうございます。この場をお借りしてお礼申し上げます。

◆高校へ出張授業ブログ◆

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文責: 宮ノ下いずる【154】

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