学科をこえて実験授業!ブリッジエンジニア科の学生とペーパークロマトグラフィー (東京テクニカルカレッジ バイオテクノロジー科)【132】
東京テクニカルカレッジ(TTC)にはブリッジエンジニア(BE)科という1年コースの学科があります。TTCにある11学科(建築、情報、Web動画クリエイター、データサイエンス、ゲームプログラミング、インテリア、環境テクノロジー、バイオテクノロジーなど)の授業を体験しながら、自分は何に興味があるのか、どんな分野の学びを深めたいのか、そして、将来どんな仕事につきたいのかを、1年かけて探求していく面白い学科です。
バイオテクノロジー科では、BE科の学生に仮説を検証するプロセスや化学実験の面白さを知ってもらうため、さまざまな実験を体験してもらっています。今回は、ペーパークロマトグラフィーにチャレンジしてもらったので授業の様子をブログで紹介します。
「マグネットはホワイトボードにくっつきますが、プラスチックはくっつかないよね。モノにより対象物へのくっつきやすさが違います。その違いを使って、混合物を分離し、目的のモノを検出するのがクロマトグラフィーです。」バイオ科講師の大江先生がクロマトグラフィーの原理を身の回りにあるものを使ってわかりやすく説明しました。
いよいよ実験スタートです。今回はペーパークロマトグラフィーで水溶性のインクに含まれる色素を分離することにしました。実験初心者の学生でも、新しい体験はワクワクするようです。みなさん積極的に実験に取り組んでくれました。
まず、クロマトのろ紙に定規を使って鉛筆で軽く線を引きます。その線上にサンプルとなる青と黒のインクを綿棒でスポットします。
黒インクと青インクが混ざらないように、間隔を1㎝くらい空けてろ紙にスポットしてもらいました。そして、このろ紙を、割りばしに挟んで水とエタノールが入った容器に入れます。
毛細管現象により水がろ紙に浸みこんで上へ移動していきました。水性インクも水やエタノールの溶媒に溶けるので、インクの色素成分は溶媒と一緒にろ紙を上っていきます。はじめは黒と青の色素しか展開していませんが、しばらくすると…
水で展開したろ紙では、黒インクは黒の他に赤の色素が、青インクは青の他に紫や黒の色素がうっすら分離しました。70%エタノールを用いたろ紙では色素がゆっくり展開し、黒インクは黒の他に黄色や赤が、青インクは青の他に紫やピンクの色素が分離しました。ペーパークロマトグラフィー実験から、黒や青のインクには黒、青以外に他の色素が混っていることがわかりました。
今回の実験を通して、インクは複数の色素が混合していること、また、展開溶媒が変わると、色素の分離速度や分離される色素が異なることがわかりました。これは、はじめに話した溶媒を変えることで、モノのくっつきやすさ(吸着度)が変わるからです。
実験をするだけでなく、原理を学ぶことで科学の面白さを感じてもらえたのでしょうか。目を輝かせて講義を聞く学生がいたのが印象的でした。BE科の学生が、今回の実験授業をきっかけにバイオの分野に興味をもってもらえたら嬉しいです。この他にもいろいろな実験を企画していますので、またブリッジエンジニア科の学生さんと一緒に実験を楽しみたいと思っています。
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文責: 宮ノ下いずる