専門学校のココがすごい!

特別対談

産学連携による共同カリキュラム開発に参画していただいた清水建設株式会社。
今回はその清水建設の人事部長にインタビューし、ホンネを語っていただきました。
※役職はインタビュー実施当時(2018年)のものです。

  • 田原 浩章

    清水建設株式会社 建築事業本部人事部 人事部長

    田原 浩章さん

  • 甲田 竜雄

    専門学校東京テクニカルカレッジ/一級建築士

    甲田 竜雄先生

現場が求めるもの、学校で学べるもの。

甲田先生:本日は貴重な機会をありがとうございます。当校の建築監督学科では、必要な技術の習得をはじめ様々な取り組みを行っています。今回「現場で求められる人材」を明確にし、今後の指導に生かせれればと思います。

田原さん:こちらこそ、ありがとうございます。求める人材をはじめ、建築監督のやりがい、貴学のメリットなど、お話ができればと思います。

甲田先生:当校の建築監督科はまだ立ち上げて4年の学科ですが、入学する学生は将来、建築現場で監督として働きたいという志しを持つ学生が多いのが特徴です。その気持ちに応えるべく必要な資格の取得をはじめ、設計や構造そして施工の知識と技術を身につけられるよう指導しております。

田原さん:それは本当に重要なことであって、大学の建築科で学ぶ学生との違いでもあります。

甲田先生:実際にどのような違いがありますか?

田原さん:「施工図が描けるか、そうではないか」です。現在、建築現場では業務が多忙を極めているのが実情です。 業務をスムーズに遂行するため、施工図の作成を施工図工に委ねており施工図をチェックすることがメインになっていますが、チェックすらせず施工図工が作成した施工図の通りに施工することがあります。 背景には、多忙であるという理由だけでなく、そもそも施工図を読む力が不足しているということもあります。

甲田先生:なるほど。

田原さん:監督が施工図を描く・読むという機会を失うと「このままだとここの収まりが悪くなる」「引き渡した後から使い勝手が悪いと言われるかも」といった、監督ならではの“読み”ができにくくなるのです。
ですので、貴学で学んだ施工図を「描く・読む」という能力は、現場での一つのアドバンテージとなるでしょう。

甲田先生:ありがとうございます。確かに、施工図の授業は力を入れている部分でもあります。

現場で必要となるコミュニケーション力、問題発見・解決能力

甲田先生:他には、どのような人材を現場では求めていますか?

田原さん:技術力というのは言わずもがなですが、現場監督の仕事は協力業者と一緒になって業務を進めるものです。また、近隣の方々や行政の担当者とコミュニケーションをとる機会もあるので、意思疎通や相手の意図を汲むといった能力が必要とされます。

甲田先生:専門知識に裏付けされた技術力とコミュニケーション能力ですね。

田原さん: そうです。監督ですから、自分の手で作るわけではありません。
まず、お施主様と設計のニーズを汲み取ることが大切です。そして、品質の良いものを適正な価格で、早く、安全に、環境に配慮して作り上げるためにどうすれば良いのかを、協力業者に指示する。
その後指示通りに現場が進行しているか、フォローが必要かなどを判断するのです。そのベースにあるのが技術力で、そこが抜けていると作ることができません。

甲田先生:そこは当校で習得できる部分ですね。

田原さん: はい、そうです。また、技術力という面で言うと、設計図書から施工図にする段階で「ここが上手く収まらない可能性がある」といった問題が出てくる場合があります。その時に施工方法を変えるべきか否かと、その必要性を検討しなければなりません。
問題・課題を見つけ出し、限られた時間の中で解決する能力が求められます。

甲田先生:よく言われる問題発見・解決能力というものですね。

4年間で変わる学生の顔色「覚悟を決めた」の声も

甲田先生: 学生を見ていると、就職活動を前にする頃には「自分達は施工管理の現場で生きていくんだ」という気構えが見えてきます。実際に「覚悟を決めた」という言葉も聞こえてきます。
また、同じ土俵で戦うことになる大学生に対して「むやみやたらなエントリーはやめて欲しい」といった頼もしい声も。学生らは、3年生の段階で施工管理の勉強を大分積んでいるので、自分達が今後どのような形で、どのような流れの中で仕事をしていくかが見えているようです。ですので、それを分かっていない大学生に、自分達と同じ土俵で戦って欲しくないというのが本音なのでしょう。

田原さん: 大学の建築科に進む学生には「監督をやりたい」と考えて進む人はほとんどいないと思います。
貴学の場合は、在学中に「社会に出て建築監督として生きていく」ことを肌で感じることができると思うので、「なぜ、進学に際して東京テクニカルカレッジの建築監督科を選んだのか」をきちんと整理できていれば、面接でもしっかりと語れると思いますよ。

いまの建築業界 これからの建築業界

甲田先生:就職を控える学生やそのご両親に向けて、建築業界のこれからについて一言お願いします。

田原さん: 建築業界は成熟産業と言われることがありますが、東京駅周辺を例にすると、近年、町並みというものは大きく変わっています。公共工事も昔のように人の少ない場所に○○会館や○○文化ホールといった建物をつくるということは難しいかもしれませんが、必要な場所には必要な税金を投入しましょうというのが基本姿勢です。
また、建築の今後は新しいものをつくることもそうですが、古いものをリニューアルして長く使えるものにするといった動きもあります。

甲田先生:なるほど。

田原さん: 同業の年齢分布を申しますと、今は若い世代が少ないです。団塊の世代は既に抜けてしまっていて、次はバブル世代が膨らんでいます。一方で業績が悪化していたある年代が少なく、年齢分布はいびつだと言えるでしょう。
業績によって採用人数を大きく増減することは良くないと、どこも理解しているので、今後も安定して人材を確保していくと思われます。

甲田先生:景気にとらわれず、一定の雇用がある業界ということですね。

田原さん:そう言えますね。とにかく、建築業界というものは無くならないと言えるでしょう。

甲田先生:なるほど、心強いお言葉です。本日は、貴重なご意見をありがとうございました。今後の指導にも生かしたいと思います。

田原さん:はい。卒業生の方のご活躍を楽しみにしております。

会社概要

事業内容 建築・土木等建設工事の請負(総合建設業)
建設業許可:国土交通大臣許可
(特-1)第3200号
(般-1)第3200号
創業 1804年(文化元年)
資本金 743.65億円
取締役社長 井上 和幸(いのうえ かずゆき)
従業員 10,494人

(2021年11月現在)

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