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2021.04.16

バイオテクノロジー科

3日間で8倍に増殖!HeLa細胞の増殖曲線(バイオ科  細胞工学実習 2年)

こんにちは、バイオ科の宮ノ下です。


新しい家電やスマートフォンなどの情報端末を購入したときの高揚感といったらないですよね。選ぶ時からずっとドキドキワクワクが続きます。もし、それが自分では買えないくらい高価な機器だとしたら?


今年度、バイオ科に新しいバイオクリーンベンチが入りました! 30年以上使っている馴染みのクリーンベンチの横にやってきた新入り。傾斜型のスライドシャッター式で、前かがみでの作業がしやすい構造になっています。しかも、液晶パネルで、クリーンベンチの状態を常時確認できます。万が一培地をこぼしても取り外して掃除できる作業台も嬉しい。届いた日は、新しい機能や、作業効率を考えたデザインにテンションがあがり、つい学生と一緒に大はしゃぎしてしまいました(*^^*)


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〈バイオ科にやってきたESCO製のバイオクリーンベンチ〉


本日のブログは、この新しいクリーンベンチを一番乗りで使わせてもらっている2年生の細胞工学実習の様子をご紹介します。


2年生は、今週からHeLa細胞の培養を始めました。清潔なマスク、ヘアーキャップにラボグローブ(手袋)をしてクリーンベンチ内で無菌的に細胞を扱います。

HeLa細胞の基本的な培養方法についての昨年ブログはこちら


実習初日、新しいクリーンベンチを使う班をじゃんけん勝負で決めました。その結果、7班のリーダーが勝利しガッツポーズ!今期は7班が新しいクリーンベンチを使います♪

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〈「腕を置く場所があるので作業が楽ちん!」新しいクリーンベンチで無菌操作をするIさん〉


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〈培養ピペットで無菌操作を行う学生〉


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〈培地を調合する学生〉


細胞工学実習では、HeLa細胞の増殖曲線、毒性試験、細胞の凍結保存そしてHeLa細胞と赤血球の細胞融合などを学びます。今週は、HeLa細胞がどのくらいのスピ―ドで増殖するのかを調べるため、学生は毎日細胞数を計測しています。


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〈培養2日目のHeLa(ヒーラ)細胞〉


はじめにHeLa細胞を100,000(1×10⁵)cells/mlに調製し、6穴マルチプレートで培養を開始しました。細胞は分裂して1個から2個、2個から4個と増えていきます。細胞がどれだけ増殖したかを調べるために24時間ごとに細胞をはがして血球計算盤※で数えます。3日間の培養でHeLa細胞はどのくらい増えたでしょうか。


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〈倒立顕微鏡でHeLa細胞を観察する学生〉


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〈血球計算盤で細胞数をカウント〉


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〈血球計算盤上(大区画0.1㎜³オレンジ枠内)のHeLa細胞〉


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〈細胞数をホワイトボードに班ごと書きだし、他班と比較します〉


ある班のデータによると、1mlあたり10万(100,000cells/ml)だったHeLa細胞は翌日には12万、2日後には35万、そして3日後には約8倍の78.5万細胞まで増殖しました。この細胞数の推移を片対数グラフに表したのがこちらです。このグラフを細胞の増殖曲線といいます。


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〈HeLa細胞の増殖曲線〉


横軸が培養時間、縦軸が細胞数です。翌日(24h後)から急に細胞が増えているのがわかります。この急激に増殖する時期を対数増殖期(log phase,ログフェーズ)といいます。この増殖のJカーブ、『あれ』と似ていると思いませんか?よく目にするCOVID-19の新規感染者数(=PCR陽性者数)が増加するカーブに似ています(^_^;)


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〈PCR陽性者数(新規感染者数)の推移 厚生労働省のHPより引用〉


HeLa細胞の場合、対数増殖期に入ると細胞は急激に数を増やし4~5日で10~20倍まで増殖します。COVID-19の新規感染者数が細胞の増殖と同じように一気に対数増殖しないように、言うまでもありませんが感染防止対策が大切ですね。バイオ科でも手洗い、マスク、実験台の消毒と換気を徹底して実験をしていきます。


来週のブログもどうぞお楽しみに♪


血球計算盤: 培養細胞や微生物の細胞数をカウントするときに使います。HeLa細胞では、血球計算盤の大区画(0.1㎜³)の細胞数を数えた後、細胞数を10,000(10⁴)倍して1ml中の細胞数を算出します。バイオ科には、30セットのThoma型血球計算盤があり、動物細胞、植物細胞、微生物を扱う実習で細胞数の計測に使用しています。


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文責:宮ノ下いずる


2021.04.09

バイオテクノロジー科

バイオ脳がもたらす錯視 『あなたはだんだん〇〇に見えてくる~』(バイオ科)

こんにちは、バイオ科の宮ノ下です。

突然ですが、壁のシミや写真に写る影が人の顔に見えてきた、そんな経験はありませんか?

私たちは、3つの点や図形が集まった形を見ると、人の顔に見えてしまうという脳の働きがあります。これは錯視の一種で、シミュラクラ現象というらしいです。


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〈コンセントの穴〉


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〈ボルトで開けた穴〉


これとちょっと似ているのですが、私たちバイオ科教員があるものを見ていると、バイオ分野の〇〇に見えてしまうという不思議な現象があります(笑)今日は、バイオ脳がもたらす一風変わったモノの見え方をいくつかご紹介します♪


バイオ科 錯視 その1)


ペーズリー柄が…

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ペーズリー柄が、

ミドリムシに見えてしまう現象


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〈ミドリムシ(ユーグレナ) 倍率100倍〉 


ミドリムシは、鞭毛(べんもう)をもち元気に動き回る原生動物です。紡錘形(ぼうすいけい)をした0.1㎜ほどの小さな生物で、池や水田など淡水に生息してます。体が緑色をしているのは、葉緑体をもっているから。植物と同じように光合成をおこなっています。このミドリムシの運動性をもつ紡錘状のフォルムが、ペーズリー柄にそっくりなんです。バイオ科では、ミドリムシをクリーンルームにある梅酒瓶の中で飼育しています。


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〈梅酒瓶で培養中のミドリムシ〉


バイオ科錯視 その2)

二股に分かれたアルコールランプ(パイトーチ)の炎が…
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二股に分かれたパイトーチの炎が、
寄生虫の一種「フタゴムシ」に見えてしまう現象

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〈フタゴムシのイラスト by宮ノ下〉

イラストは1匹の蝶のように見えますが、2匹のフタゴムシが合体している姿を表したものです。フタゴムシは、コイやフナにつく寄生虫ですが、幼虫のときに出会った相手とイラストのようにくっついて生涯を送るという、なんともロマンチックな特性をもっています。パイトーチの二股に分かれた炎を見て、ウサギの耳を思い浮かべる人はいるかもしれませんが、ロマンチストのバイオ科教員が見ると、合体したフタゴムシを連想しちゃうのです。

バイオ科錯視 その3)

アセロラドリンクが…
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アセロラドリンクが、
動物細胞培養用の培地に見える現象

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〈動物細胞培養培地〉

アセロラドリンクは薄い赤色をしていますが、動物細胞培養に適した培地も同じような色をしています。培地にはフェノールレッドという色素が入っていますが、この色素は溶液のpH(ピーエッチ)の違いで色を変える性質があります。一般的に、哺乳動物細胞はpH7.4に調整した培地で培養しますが、フェノールレッドはpH7.4で赤になるので、培地も赤色になります。バイオ科では、実習で動物細胞培養を頻繁に行うので、アセロラドリンクを見るたび、培地を思い浮かべてしまうのです。

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〈pHが異なる培地の色〉

バイオ科錯視 その4)

みかんのつぶつぶが….
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みかんのつぶつぶが、
培養している接着細胞にみえる現象

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〈シャーレで培養したHeLa細胞〉

再び、細胞培養の話です。皮膚の細胞のように、シート状に広がって増殖していく細胞を接着細胞といいます。バイオ科では、動物細胞培養実習で接着細胞の1つ、ヒトの子宮頚部上皮がん細胞のHeLa細胞をよく使います。HeLa細胞をシャーレやフラスコで培養すると、細胞が容器の底に貼り付いて分裂増殖を繰り返していきます。増殖すると、写真のように1つ1つの細胞が、紡錘形になり敷石を敷いたように広がります。この増殖した細胞が、みかんのつぶつぶ構造とよく似ていると思いませんか?

バイオ科錯視 その5

夜空に輝く星々が….
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夜空に輝く星々が、
細菌(バクテリア)のコロニーに見える現象。

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〈GFP遺伝子を組み込んだ大腸菌のコロニー(右写真)〉

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〈カラフルな栄養培地で培養した細菌のコロニー〉

細菌は髪の毛(0.1㎜)の100分の1ほどの大きさ(1μmほど)の微生物です。あまりに小さいので、顕微鏡を使わないと1つ1つの細菌を観察できません。ところが、細菌を培地で培養すると、分裂を繰り返して増殖し、翌日には肉眼で見えるほどの菌の集合体(なんと1菌体から100万以上の菌の塊)になります。この集合体を菌の集落(コロニー)といいます。コロニーが培地いっぱいに生えると、まるで夜空で輝く星々のように見えます。バイオ科教員は、培地の中に壮大な宇宙を感じているのです。

ここまで、バイオ脳で見たときのモノの見え方をご紹介してきました。「バイオ科の人たちって変人ばっかり!」という声が聞こえてきそうです(^_^;)
「いや、言われてみると、ペーズリー柄がミドリムシに見えてきた!」という人も案外いるかもしれませんね。もし、そう見えてきたなら、あなたも私たちと一緒でバイオロジストの仲間です!

来週のバイオ科ブログもどうぞお楽しみに★

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東京テクニカルカレッジ バイオテクノロジー科 (@TTCbio)

文責:宮ノ下いずる

2021.04.08

バイオテクノロジー科

第33回TTCバイオカフェ、5月28日(金)Zoom開催!

第33回TTCバイオカフェ(Zoom開催)のお知らせ。

今回のTTCバイオカフェは、国際植物の日:Fascination of Plants Day(FoPD)」イベントとして開催いたします。

FoPD Logo 2021


テーマ:「人工光型植物工場と私」

スピーカー:山口 夕先生(大阪府立大学大学院・准教授)

山口先生からのメッセージ:

「大阪府立大学は人工光型植物工場の研究拠点として活動しています。皆さんも植物工場産のレタスなどを食べられたことがあるかと思いますが、近年では天候不良や災害時においても安定した野菜生産が続けられることから需要が高まっています。しかし設備費や維持費がかかるため、なかなか黒字化が難しく、また栽培品目が少ない、露地栽培に比べて風味が弱いなど、解決すべき課題がまだまだ多いというのが現状です。実際に植物工場を動かすためには、設備や環境制御技術を開発する工学系の研究と、栽培技術を開発する農学系の研究の両方が必要です。今回は、現在行っている高品質アオジソ栽培への取組を紹介するとともに、ミクロな研究を主にしてきた私が、機械系の方々と一緒に植物工場での作物栽培にトライしながら感じてきたことを紹介したいと思います。 どうぞ気軽にご参加下さい。」


日時:2021年5月28日(金)

入室開始 17:35 

開始時間 17:50 終了時間 19:20

(これまでのTTCバイオカフェより開始時間が10分早いのでご注意ください。)

参加費:無料

ご参加ご希望の方は、QRコードからお申込みください。

ttcバイオカフェ210528 QRコード


主催:特定非営利活動法人 くらしとバイオプラザ21

共催:専門学校 東京テクニカルカレッジ(TTC)



Dr. Yamaguchi

■山口 夕(やまぐち ゆうべ)先生のご紹介■

大阪府立大学大学院 生命環境科学研究科 応用生命科学専攻 准教授

(植物工場研究センター 副センター長) 博士(バイオサイエンス)

専門分野 植物生理学、分子生物学

ゲノム編集や遺伝子組換えなど、植物科学のコミュニケーション活動にも取り組んでいます。Fascination of Plants Dayをよろしくお願いいたします。


これまでの「TTCバイオカフェ」は、ここをクリック。


■特定非営利活動法人「くらしとバイオプラザ21」とは?

代表:大島美恵子(東北公益文科大学名誉教授)

副代表:正木春彦(東京大学名誉教授) 

くらしとバイオプラザ21 は、「くらしとバイオ」の視点で、バイオテクノロジーに関する情報をわかりやすく提供し、対話の場創りをしています。茅場町を中心に全国各地でバイオカフェを330回以上開催。東京テクニカルカレッジ(TTC)は実験教室などに協力、同法人の佐々義子常務理事はTTCのカリキュラム検討委員として、連携して活動しております。

くらしとバイオ イメージカフェ

◆2017年のTTCバイオカフェ風景◆

COVID-19以前(2020年2月まで)のTTCバイオカフェはお茶を飲みながら行いました(校舎1階テラカフェ)。


文責:大藤道衛


第33回TTCバイオカフェ(山口先生)
第33回TTCバイオカフェポスター(PDFファイル)は、ここをクリック

ポスター作成:川辺伸司科長(Web動画クリエイター科







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